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男の名前は 岩瀬 健
結婚式場に現れた 哀れな男である
これまで 何百という 結婚式を見てきたが
新婦に対して ここまで 未練を 持った男は 初めてであった
歴代 見てきた 人間の中でも
意気地のなさと 往生際の悪さは 群を抜いていた
幼なじみであるがゆえ
彼女への思いを ずっと 伝えられなかった男は
スライド写真を 見ながら
過去を やり直したいと 強く願った
見るに見かねた わたしは
写真の時代に 戻ることを 許可した
求めよ!\Nさらば 与えられん
ハレルヤ~ チャンス!
ぬおおおーっ!
わたしとは 無論 この教会に住む 妖精である
男は 必死に 過去のふがいない 自分を変えようと 努力した
しかし 一度目で できなかったことが
簡単に やり直せるわけもなく 躊躇 いや 空回りを 繰り返し
次々と チャンスを逃していった
「ケンゾーのことが 大好きです」
僕…
吉田 礼さんのことが 好きです
わたし 多田先生と つきあうことに 決めたの
そして 男は気づいた
過去を やり直しても 結局 自分は 自分でしかないんだと
そして 男は思った
過去を嘆く 今よりも 今を 変えようとする
未来への意志が いちばん重要なんだと
僕は 礼のことが 好きでした
男は 現在に戻り 15年目にして 初めて
彼女への思いを 伝えることに 成功した
それは 状況やタイミング 常識や体裁を 言い訳にし続けてきた 男が
初めて 自らの殻を破った 瞬間でもあった
男の願いも むなしく 奇跡の扉が 開くことはないかと 思われた
が その重い扉は ついに
女の手によって 開かれたのである
果たして この二人に 幸せは 訪れるのであろうか
すいませんね ホントに!
ガス欠って どんだけ!?
ケンゾー!
ケンゾー!
何してんの?
そっちこそ 何してんの?\Nえっ?
何で タクシーなんか 押してんの?\N暇だから
暇だと タクシー 押すんだ?
マンガ喫茶 行くか タクシー 押すかで 相当 迷ったけどね
バカじゃないの
ウエディングドレス 着て 汗だくな人に 言われたくありません
そっちは 何してんの?\Nえっ?
ジョギング
その格好で?
目立つから 道路 走ってても ひかれる心配ないし
走りにくくない?\Nまあ ちょっとだけ
でも 健康にいいし
そっか\Nうん
すいませんね!\Nスタンドまで もう少しなんで!
今日は ご迷惑かけて ホントに すいませんでした
いえ
結婚生活は 急な 車線変更なしで お願いします
あれ? 何か まずいこと 言っちゃいました?
いえ ありがとうございます\Nお幸せに
結婚生活は くれぐれも 愛情 満タンで お願いします
何で 海なのよ?
その格好で ほかに 行けるとこないだろ
そうだけど
ゲーセン 行くには 派手すぎるし ラーメン屋 行ったら ドレス 汚れるし
それに まだ 家に 帰るわけにもいかないでしょ
冷静に考えるとさ その格好で 海にいんの おかしくない?
映画の撮影みたいだよね
じゃあ 今 どんなシーンの 撮影してんの?
えっ?\Nうん…
用意されているはずの ボートがなくて
途方に暮れている二人
じゃあ 俺ら この後 捕まるんだ?
いや… 別に 追われてる 設定じゃないから
じゃあ どんな設定だよ?
ボートで ハネムーンに 旅立とうとしていた二人
ハハハ…\N何で そんなに笑ってんの?
今どき 「ハネムーン」って 使うか?\N使う人は 使うでしょ
普通に 「新婚旅行」でいいだろ
パスタのことを いまだに スパゲティって言うの
お前ぐらいだよ\Nいちいち うるさい!
昔から どっか 言うことが 古くさいんだよな
ケンゾーみたいに 鈍くさいよりは マシだと思うけど
俺 別に 鈍くさくないし 自分が 鈍くさいってことにも
気づかないくらい 鈍くさいんでしょ?
もっと いろんなことに 敏感になったほうがいいと思うよ
そういう 説教くさいところが 古くさいって 言ってんの
もう くさい くさい うるさいから!
どうしたの?
俺らってさぁ\Nうん?
こんな日でも 言い合いしてんだなと思って
結婚式 飛び出して
砂浜に 二人きりで
すげえ きれいな夕日が 目の前にあんのにさ
ごめんな
ううん\Nこっちこそ ごめんね
きゃーっ!\Nああ 冷てっ!
ああー! 冷てえ!\Nああー!
ない!\Nマジで…
もう…\Nもう やだ
もう いいよ!\Nよくないだろ!
見つからないって!\Nホントに いいから!
きゃー!\Nやだ もう…
そんな顔 すんなよ\Nじゃあ どんな顔すればいいのよ?
自分が なくしたんだろ\N誰が 海に連れてきたの!?
海じゃなくたって よかったでしょ!
こっちはな 気 使って 連れてきてんだから
そんな言い方 すんなよ\Nだってさ…
こんな ドレス 着て 片足 はだしで…
何か すごい 惨めだし
早くしろよ\Nえっ?
はだしじゃ 歩けないだろ
いいよ…\Nいいから 早くしろよ
いくよ
いくよ
あーあ ハイヒールに 名前と住所 書いておけばよかった
まだ 言ってんのかよ?
あそこで 見つけられないのが ケンゾーだよね
「あった!」って 格好よく 見つけてくれたら
すぐにでも お嫁さんになってあげたのに
いつか 世界中の海 探し回って
あの ハイヒール 見つければいいんだろ?
今 言ったからね!\N絶対だかんね!
やべっ!
うわっ 財布 忘れた\Nあっ ソーリー
ああ… よし
礼!
早くしろよ 間に合わないって\Nはい 分かってるって
ちょっと これも持って\Nじゃあ 行くよ!
マジかよ!?
タクシー!
よいしょ\Nほら ケンゾー 早く
早く!
大体さ 当日 ギリギリの 便なんかで 来んなよ
しょうがないでしょ\N平日 休み 取れないんだから
ちょっと 着替えるから あっち 向いてて
ここで 着替えんの!?\Nだって 時間ないんでしょ!?
礼 礼…
ちょっと 見ないで!
ちょっと 払っといて\Nえっ?
財布 忘れた\N海外に来て 女に
お金 払わせるって どうなの!? ないもんは しょうがないだろ
両替してないから ドル 持ってないよ
えっ!?
諭吉でいいじゃん\N諭吉じゃ 多すぎるでしょ
じゃあ 1,000円\N2,000円?
ハハハ…\Nハハハ!
セーフ\Nアウトだよ
もう とっくに 始まってる時間だから
まだ 始まってねえじゃん あいつら 出てこないんだよ
えっ!? どうして!?\N知らねえ
わたし ちょっと 見てくる\Nケンゾーも行こう
何してんの?
ああ…\Nああ あのう…
あの 遠いところから どうも ありがとう!
エリは?\Nうん いや もうちょっと 待って
もう 時間 とっくに過ぎてるぞ
うん 知ってるよ\Nエリ 中にいるんでしょ?
開けてよ\Nうん あのね 今ね
最後の準備をしてるから あの もう あっち 行って
手伝うよ\Nいや
あのね もう それ ホント 大丈夫 手伝うって 言ってんじゃん
いや もう ホントにね 大丈夫 とりあえず 1回 開けてよ
いや もうね それだけは 無理だ!
お前 顔色 悪いぞ\N日焼け止め 塗りすぎちゃった!
もしかして ウエディングドレス 忘れたとか?
バカ! 健って バカだなー! ホント\Nそんなわけないじゃん!
図星!?\Nマジで!?
違う 違う… 違う もう いいから 開けてよ!
ああ ちょっと…\Nやめて… 触んないで!
せーの とんでけー!\Nああー!
ダメだってー!
ああー\Nドレス あんじゃん
だから そんな 忘れるわけないだろ わっ!
エリ
エリ
えーっ!?
やっべ
「鶴が わたしのこと 本当に 思ってるのか
分からなくなっちゃった\Nごめんね エリ」
ドレス あんのに 花嫁 いないって どういうことだよ?
成田離婚は 聞いたことあるけど
ハワイ離婚は かなり 斬新だな
もう 何で こんなことになったの?
そんな 俺が聞きたいよ!
こんなに エリのこと 思ってんのに
朝まで 一緒だったんだろ?
でも 起きたら いなかったから おかしいなとは思った
おかしいと思ったら どうして 捜さなかったの!?
だって ドッキリだと 思ったんだもん
女の子が 結婚式当日に そんな バカみたいなこと すると思う!?
だよね\Nそれで ソクラテスで どうにか
ごまかそうと思ったわけだ \Nだって わざわざ 休み取って
ハワイまで 来てくれた人に 申し訳ないじゃん
人間 追い込まれると 何でも やるんだな
ごまかしきれるわけが ないでしょ!
ごまかすつもりは なかった!
本物に なりきれなかった\Nわたしの力不足だ!
坂東 玉三郎だったら この女形
完ぺきに 演じきれてたはずなんだ!
ソクラテス…\N無念の ひと言に尽きる
わぁーっ!\N何で お前が 落ち込んでんだよ!?
もう どうしていいか 分かんないよ
心当たりねえの?\Nあるわけないだろ
こっち来て エリに ないしょで はめ外してたんじゃねえの?
そんなことするか\Nじゃあ ただの マリッジブルーだろ
それか 鶴と 結婚するっていう 現実に
今さらながら ブルーになってるか
どっちも 考えられるな\Nうん
エリの気持ち ちゃんと考えないから
こういうことに なるんだよ\Nいや 考えたよ!
今日まで ずっと 俺は エリのことしか見てなかったし
エリに 幸せに なってもらいたいから
家のことだって 結婚式のことだって
やりたいように やらせたし 任せっきりにしてただけでしょ
それが いちばん困るんだからね もう どうすりゃいいんだよ
はぁー\Nはぁー
親御さんは 気の毒だよな
結婚式で わざわざ ハワイに来て これだもんな
余計なこと 言ってんじゃねえよ
別に 礼のこと 責めてるわけじゃないって
参列者に 謝り続ける エリの両親は
あの日 置き去りにしてきた 礼の両親を 思い起こさせた
鶴の 痛々しい横顔は あの日 いちばん つらかったはずの
多田さんの姿と ダブって見えた
あれから 1年に なろうとしていたが
お互いに あの結婚式のことを 口にするのは
何となく 避けていた
あの日 式場で 礼の両親が どんな思いをしていたのかも
今の俺たちのことを どう思っているのかも
正直 怖くて 聞けないでいた
今 ホテルで確認したら
朝いちの 日本行きの便 予約して 飛び出していったらしい
そっか\N日本 帰っちゃったんだ
少なくとも 生きてはいるみたいだな
エリ 生きてるって\Nよかったじゃん
何とか言えよ
わたし 1回 ホテル チェックインしてくるね
すぐ 戻ってくる
礼\Nどうしたの?
幹雄が言ったこと 気にすんなよ\Nえっ?
ああ… 全然 気にしてないよ\Nなら いいけど
そんなこと言って
ケンゾーが いちばん 気にしてるんじゃないの?
俺は 全然 平気だけど
うまくいかないよね\Nえっ?
鶴とエリまで こんなことに なっちゃうなんてさ
あの二人なら きっと 大丈夫だって 思ってたのに
そうだな
じゃあ 後でね
せっかく スライドまで用意したのに もったいねえよなぁ
日本から 機材 持ち込むの すげえ 大変だったんだぞ
鶴に あそこまで へこまれると こっちまで へこむわ
さすがに 両親の あんな姿 見たら しょうがねえって
あの二人 どうなっちゃうんだろうな…
あっ! ウエディングケーキ\Nやっべ
先生 伊藤先生
ああ… どうした!?\N予定の時間 すぎてるぞ
いや 実は…\N何か トラブったか?
エリが 日本に帰っちゃって\N何しに?
いや だから 披露宴 中止になったんです
ああ そっか\Nリアクション 薄いなー
えっ!? 披露宴 中止!?\N気づくの 遅いなー
えっ!? 中止ってことは 俺の出番ないのか!?
残念ながら\Nじゃ 引き出物の 湯飲みも
無駄か!?\Nあれ 先生 作ったの?
バカ野郎 俺 陶芸家だぞ ロクロ 失敗 100円ショップだろ
作ってないじゃん\Nしかも 100円ショップ
ハワイまで来て 中止ってないよなぁ
先生 何してんのー?\Nしばらく 落ち込んでくる
はい\Nああ 吉田 礼です
オッケー 吉田さま メッセージを お預かりしてます
「健 ちゃんと 礼を 幸せにしてあげなきゃ
許さないからね\N次は 健と礼の番だよ
これからも ずーっと 仲よくしようね」
残るは 健と礼だけだと 思ったのにな\Nえっ?
結婚だよ\N幹雄だって まだじゃん
俺は もともと 結婚する気 ゼロだから
でも 優子は 結婚したがってんだろ?
大体 何で こっちに 連れてきてやんなかったんだよ?
連れてなんて来たら 結婚願望 強まるだけだから
面倒くせえって\Nっていうか 何で 結婚しないの?
わざわざ 結婚する意味が 全く 分かんないし
意味なんて 結婚してから 考えればいいんだよ
人のこと 心配する前に お前ら どうなんだよ?
つきあって もう1年 たつんだろ?\Nええ
礼は 結婚のこと 何か 言ってんの?
まだ 話してない\Nえっ?
そういう話は まだ 何も話してない
そういえば この前 礼も 同じようなこと 言ってた
結婚の話とか したことないって
二人とも 似たもん同士だかんな\N似てねえだろ
そっくりじゃん\N意地っ張りなくせに
肝心なとこは 気が弱い
よっしゃ…\N行こうぜ
せっかくだから ちょっと これ 見て行こっか?
おう 見ようぜ
もしもし エリ?\N礼だけど
もしもし エリ?\N礼だけど
礼…
平気? 今 どこ?\N家にいるの?
わたし 大変なことしちゃった…
どうしたの?\N何があったの?
ごめんね わざわざ ハワイにまで 来てくれたのに
ちゃんと話して エリ
1か月前ぐらいから 急に 帰りが遅くなったり
部屋にこもって メールとか 電話してる回数が 増えたから
変だなとは 思ってたの\Nうん
それで 昨日の夜 鶴が 別行動したいって 言うから
おかしいなと思って 悪いとは 思ったんだけど
後 つけちゃったの後 つけちゃったの
そしたら 知らない女の人と 会ってて…
見間違えたんじゃないの?\Nだって あの 鶴だよ
でもね 夜には ちゃんと 早く帰ってきたし
何でもなかったんだって 思ったの
わたし 大丈夫だと 思ってたのね
ちょっとぐらいのことなら
我慢して 乗り切れるって 思ってた
でも 何か 急に
このまま 結婚していいのかなって 思っちゃって
ホントの問題は 鶴じゃなくて わたしなのかもしれない
わたしが 鶴のこと信じられなくて 後 つけたりして
何か 結婚する 資格なんか ないように 思えてきてさ
1回 ちゃんと 話したほうがいいよ
よくよく考えるとさぁ
俺たち 五人が いまだに 友達な 確率って
結構 すごくない?\N偶然 同じクラスになって
同じ野球部に 入ってたってだけだもんな
ちょっと 学力が違えば 違う高校 行ってたし
俺なんて 小さいとき バースのホームラン 見てなかったら
野球部 入ってないかんな 俺だって 小学校んときに
サッカー部があったら 野球部なんか やってなかった
何なんだろうなぁ?\Nこういう巡り合わせって
不思議としか 言いようがない\Nなあ
最初に会ったとき 俺たち ここまで続くって 思ってた?
全然\N鶴なんて マジ うざかったし
幹雄なんて いちばん苦手な タイプだったし
お前 それ マジで言ってんの? 大体 そんなもんじゃない?
最初に いいなって思った 友達なんて
結局 一人も残ってないし\N礼は どうなんだよ?
えっ?\N第一印象なんて 最悪だよ
最初に言われた言葉が 「ケンゾー」だもん だって
名前 間違ってるし
転校してきた 吉田 礼です\Nよろしく お願いします
ありがと ケンゾー君
僕が 責任を取ります! 礼を 一生 面倒 見ますから
よろしく お願いします
何回 見ても 懐かしいなぁ\Nああ
ああ これ\N健のせいで 負けた日
だから 俺のせいじゃないっつーの
どっちみち 負けてたの\Nまだ 言ってんのかよ?
いいかげん 認めろよ\Nいいかげん 信じろよ
今日まで 本当に ご苦労さまでした
エリと鶴が 積み重ねてきた 思い出の 隣には
礼との 忘れられない 日々があった
いつも いちばん 近くにいたはずの礼が
日に日に 遠ざかっていき
手の届かない場所に 行ってしまう あの切なさが
記憶とともに よみがえってきた
礼が 結婚を あきらめてくれればいいと
思ったことがあります
礼を 連れ去ってしまいたいと 思ったこともあります
僕は…
礼のことが 好きでした
あれほどの思いをして 取り戻したはずの
二人の時間は 結局のところ 止まったままで
次の一歩を なかなか 踏み出せないでいた
出発直前に みんなで 飯 食ったろ?
お好み焼き?\Nうん 今 思うと エリ
無理に 明るく振る舞ってたような 気がするんだよな
あっ これこれ
こんなにも 幸せそうに 笑っている 鶴が
1週間後の 今日 こんなにも つらい日を 迎えているなんて
考えもしなかった\N何で よりによって
鶴が こんな思いしなきゃ なんねえんだろ?
あんなに エリのために 一生懸命に生きてきた 鶴が
どうして 幸せになれねえんだよ?
おかしいよ\N絶対 おかしいって
どうにかしてやりてえよなぁ\Nできることなら…
できることなら この日に戻って 教えてやりてえけど…
『ハレルヤ・コーラス』
熱射病だ…
久しぶりだな
妖精? 何で?
ったく お前ってヤツは ホントに 情緒がないな\Nいや…
せっかくの 感動の再会が 台なしだよ
いや…\N何で ここに いるんすか?
引っ越したんだよ\N引っ越し?
日本で 働くのをやめて こっちの 教会に 住むことにしたんだ
もしかして 優雅に セミリタイア 気取っちゃったりして?
バカ 違うよ
日本での仕事が めっきり減ってな
最近の日本は お前みたいな 往生際の悪い人間が
なかなか 現れなくて 暇になったんだよ
相変わらず 言うこと きついっすね
それより お前らの 仲間うちでは
結婚式を 台なしにするのが はやってんのか?
こう 次から次へと ドラマじゃあるまいし
気にしてるんですから 言わないでくださいよ
気にしてんのか?
まさか お前 スピーチしたこと
後悔してるんじゃ ないんだろうな?
今日の 鶴 見て 改めて 思ったんですけど
あんなに たくさんの人に 迷惑をかけた 俺が
結婚する資格 あるのかなって\Nたぁー
ったく ホントに お前ってヤツは 成長しない 男だな
何のために あんなに 何度も
過去に戻してやったと 思ってんだ?
世界で いちばん好きな人を
幸せにするためじゃ なかったのか?
彼女のことを 幸せにできるのは 自分だけだって
大口 たたいてたよな?\Nいや…
その気持ちは 今でも 変わってないですけど
変わってないけど 何なんだ?
「周りの人間を 不幸にしてまで 結婚したくありません」って
言い訳でも 言うか?
それとも 結婚は 勢いと タイミングだっていう 常とう句を
ここでも持ち出すか?
はっ! あの日の お前は 少なくとも 覚悟があったはずだ
どんなに険しい道でも 彼女を守って
ともに歩く 覚悟があったはずだ
お前を信じて 式場を飛び出した 彼女の気持ちを 少しは考えろ!
彼女は あの日 勇気を振り絞って お前を 選んだんだぞ
残念ながら 男の趣味がいいとは 思えないがな
フッ…\Nそれ 俺に 失礼
フッ\Nで? 今度は
友達のために 戻りたいのか?\Nえっ?
友達を どうにかしてやりたいんだろ?
マジで 戻れんすか?\N俺を 誰だと思ってんだよ?
妖精
前から言おうと 思ってたんだけどな
呼び捨てって どうなの?\Nそうですよね
今度から ちゃんと さん付けにします
妖精さん お願いします
俺 鶴の こんな姿 見てるの つらいっす
せめて こうなることだけでも 教えてやりたくて
俺にしてみたら お前の 煮えきらない 姿のほうが
よっぽど 見てらんないけどな いや とりあえず 今 鶴のこと
何とか しないとなっていうのは あります
そんなに行きたいなら 行け
ありがとうございます!\Nよし
久々だから 何か ワクワクしちゃいますね
例のこと 覚えてんのか?\N当たり前じゃないですか
よっしゃ\Nよし!
いっちゃいます
求めよ さらば 与えられん
ハレルヤ~ チャンス!\Nぬおおおーっ!
おおおーっ!\Nえっ? あれ?
すまん\N日本人と 話してたら
ついつい 日本語で 話しちまったよ
ここは アメリカだった\Nそういうの 関係あるんすか?
郷に入っては 郷に従え\N前から 思ってたんすけど
ことわざとか 格言とか めちゃめちゃ 詳しいですよね
電子辞書は 実に便利だ\Nそういうの 持ち歩いてるんだ?
嘘に 決まってんだろ\Nいいかげんにして!
オー!\Nオーケー!
ハレルヤ~ チャンス!\Nぬおおおーっ!
『ハレルヤ・コーラス』
ええっ!?
うわっ…\Nたたた 多田さん!?
たたた…
たたた…\N岩瀬君
あっ はい!\N殴ってもいいですか?
えっ!?\Nエヘッ 冗談です
もう! 全然 冗談に 聞こえませんから!
あの 土下座なんて やめてください
謝られても 困ります
そうだった あの日以来 初めて 多田さんの前に 現れた俺は
何も 言葉を発することなく 土下座して
逃げるように 去ってしまったのだった
心の奥に 固く押し込んでいた 多田さんの存在は
月日が たつごとに 頭から 離れなくなっていた
このまま 避け続けて 礼と つきあっていていいのだろうか
どこかで 罪の意識を 感じている 自分がいた
建築の世界では 偶然っていう 概念は ありえないんです
一つ一つのことを 積み上げていくことでしか
結果は 生まれない\Nすべてが 必然なんです
僕は 岩瀬君に謝ってほしいなんて 思ったことは
一度も ありません
あの日のことは 結局は 僕が 決めたことなんですから
あの日 吉田さんが流した涙は ハッとするぐらい
きれいでした\Nでも 残念ながら あの涙は
僕たちの結婚に 向けられたものではなかった
だから 最後の最後の瞬間
吉田さんの手を 離してしまったのかもしれません
強がりに 聞こえるかもしれませんけど
僕は 自分が出した結論を 後悔してないんです
岩瀬君も 迷ったり 振り返ったりしないでほしい
いや これって やっぱり 強がりですよね
あっ 行きましょうか
テツ\Nああ
あっ ごめんなさい\N僕 もう 帰りますから
あれ?\Nもしかして スピーチしてた人?
ああ うん\Nホントに?
あ…\N彼女も 式に来てたんです
柴田 幸子です こんにちは\Nこんにちは
健 遅ぇなぁ!\Nちょっと 遅れるって言ってた
ほーい お待たせ\N頼んでないよ
えっ? サービス サービス 食え 食え トローピカルな新作 フフフ
完全に 罰ゲームだから\N幹雄 食べてね
礼 食べなよ\Nなあ? お前たち
そんなこと 言ってさ この店 結構 好きだろ?
日曜日なのに こんな ガラガラに あいてる店って
ここぐらいしか ないから 今 打ち合わせ中なんだから
邪魔しないで\N相変わらず きついね
お前たちは\Nこれ 食べて 元気 出しなよ
これも食べなよ\N元気 消えうせる味だけど
お前たち 最低だな ホントに!\Nアハハハ ハハハハ
驚いた 1年前の ライバルが 一緒にいるところに
遭遇するなんて 思いもしなかった
そんなに うれしそうに 話すことじゃないでしょ?
だって また この ツーショットが見れるなんて
考えもしなかったもん\Nあっ ほら
「48時間」が パート2 やったとき エディ・マーフィと ニック・ノルティのコンビが
また 見れるって 興奮したときの あの感覚?
あっ まあ 1のほうが 圧倒的に 面白かったんだけどね
ああ 彼女 僕の 幼なじみなんです
まあ 唯一の腐れ縁っていうか\N昔から この人
わたしが いないと 何にも できないんですよ
今の言葉 もう 20年以上 ずっと 言い続けてるんです
テツが 全く成長しないから 使い続けるしか ないんです!
ずっと この調子で
あっ ここのシュークリーム おいしいから 食べて
じゃあ ごゆっくり
ふうー
あっ 覚えてますか?
確か 教育実習のときに 話しましたよね?
人生で 僕のことを あだ名で呼んだ
唯一の人がいるって\Nああ
今までの人生で あだ名で 呼ばれたことって
1回しか ないんです
ずーっと 「多田君」か 「多田さん」の どっちかで
その1回は 誰からなんですか?
ああ 幼なじみです\Nほかの友達は
誰も使わなかったので 全然 浸透しませんでしたけど
でも 何か 妙に うれしかったんですよね
僕が 吉田さんと ああいうことになって
一人だけ 笑ってくれたのが 彼女でした
人の顔 指さして 「だっさい」って
ちょっと 救われたんですよね あの後から 仕事の合間に
ちょくちょく ここに 顔を 出すようになって
もう 大して 話すこともないのに 居酒屋に 引っ張り出されて
無理やり カラオケで 歌わされたりして
もう 大丈夫だからって 言ってるのに
今日みたいに 差し入れ 持って 時々 来るんです
まあ 暇なだけだと思いますけど
吉田さんにも よろしく お伝えください
あっ いや\Nやっぱり 伝えなくていいです
何か 格好つけて そういうこと 言ってると
また 彼女から 「だっさい」って 笑われそうなんで
それじゃあ 失礼します
あっ よかったら これ
いや 大丈夫です\Nそうですか じゃあ
多田さんの言葉は ズシンと 胸にしみた
本当は どこかで 気づいていたのに
本質から 目を そらそうとしていた 自分がいた
前へ進めないのは 誰のせいでもない
俺自身の 問題なんだ
お前らも 一緒に 結婚式 すりゃいいじゃん
はぁ!? 何 言ってんの?
だって いずれは するんだろ?
そんなの 分かんないよ
へえー 分かんないとか 言っちゃうんだ
そんなの 分かんないじゃん
1年も つきあってれば そういう話 するだろ?
しないよ するわけないでしょ
でもさ 幼なじみだったら 実家に 遊びに来たりするんだろ?
どうして?\N何か 気にしてるみたい
えっ?\Nだから うちの両親に
合わせる顔がないって 思ってるみたい
へえー そうなんだ\Nだって わたしが選んだんだし
ケンゾーが どうこう思う必要 ないのに
気にしてるのって 健だけなの?
えっ?\N礼は 健が 両親と会うのって
全然 平気なんだ?
シュークリーム 食べなかった?\Nはい
どうして 食べなかったの? あそこの すっごい おいしいのに
もしかして 意地悪された?\Nいや
そんなわけ ないじゃないですか\Nそうだよね
あの人 いい人だもんねえ
彼女と まだ 結婚してないの?\Nはい
テツのこと 気にしてる?
そういうわけじゃないんですけど\Nふーん
わたしが こういうこと言うのも 変だけど
もう 気にしなくて いいと思うよ
ほら 今さら 気にしてます 躊躇してますって 言われても
どうしようも ないじゃない?\Nうん
彼女はさ テツと別れたくて 式場 飛び出したんじゃないよ
君と 一緒になるため
まっ わたしが こんな おせっかい 焼く必要も ないんだけどね
ああー それにしても 来ないなぁ バス
あの 一つ 聞いてもいいですか?\Nうん
多田さんのこと 好きなんですか?\Nえっ!?
いや 何となく\Nあっ もうね わたしたち
好きとか 嫌いとか そういう状況 とっくに すぎてるから
僕も 礼と そうだと 思ってたんですよ
けど 無理に そう思おうと してただけだったんです
略奪愛に 成功した男は 言うことが違うわ
参考にしとく
やっべ
失礼します
アンニョンハセヨ!\Nヨ!
健 遅ぇよ\N悪ぃ 悪ぃ
披露宴まで 1週間しか ないんだからね!
大丈夫だって\Nそんな 焦んなって
やっぱり ケンゾーじゃ 披露宴の司会 無理だって
じゃあ 礼も 一緒にやれよ\Nえっ?
だったら わたし 一人でやるよ\Nバーカ
俺 意外と 司会とか うまいから\Nどこが うまいの?
むしろ 苦手でしょ?\N何を根拠に 言ってんの?
中学校んときの 学級会の司会 やったときだって
見たことないぐらい グダグダだったし あれは 生徒に 問題があったの
今回の新郎 新婦にも 相当 問題あるぞ
そうだよ 問題あるんだよ そんな 立ってまで言うこと?
よいしょー!\Nおう 鶴 久しぶり
おう 保!\Nあっ そうそう そうそう
あのね 来週 俺と エリ ハワイで 結婚式やんの
あー さっき 聞いたよ 俺 まだ 呼ばれてねえぜ
うん 本当に 祝ってもらいたい人しか
呼んでないの ごめんね\Nお前 もう
二度と 来んじゃねえよ お前\Nこの野郎
よいしょ よいしょ\Nほい 頼むな!
もっと 厳選してから 持ってこいよ
えっ? 被写体が よすぎてさ 選べねえんだよ
おい 保! 牛乳 くれ!\Nおう
小さすぎて 肉眼じゃ 確認できないんだろ
はい そこの独身の君 黙る\Nお前 そんなふうに
調子 乗ってっから 痛い目 遭うんだぞ
はい そこの独身も 黙~る マジで 話 聞けって お前
はい そこの独身 黙~る\N黙~る 黙~る
あっ 幹雄はさ スライドショーと 写真撮影以外 仕事ないの?
それで 十分だろ
お前 花嫁の監視しとけよ\Nはっ? 何? それ
式当日に 逃げられたら 困るってこと?
バカだな 礼じゃあるまいし
エリが そんなこと するわけねえだろ!
何 微妙な 空気にしてんだよ お前
いや だって お前が 余計なこと 言うからだよ
まあ でも 鶴と エリなら ありえる話だな
だろ?\Nいや ねえな
どっちだよ
おう うちの ワイフからだ\N気持ち悪いから
その言い方 やめなよ\Nもしもし?
ああ 急に 仕事 入っちゃってさ うん 外せないんだわ
あっ だから ちょっとね 今日 夜遅くなると思う
あっ そう あんね\Nうちのダディーと パピーには
キャンセルの電話 しといたから\Nうん 分かったってよ
うん そういうこと\Nじゃあね
ダディーも パピーも どっちも おやじだよ!
分かってるし!\N分かってなかったろ? 今!
知ってるし!\Nはあー もう 嫌だな 独身は
お前 マジで 痛い目 遭うからな\N何だよ!? 独身!
マジで 痛い目 遭うから 分かったよ 独身 おい
マジで 痛い目 遭うからな\Nうん?
はあー
お前 ホントに 仕事なのかよ? いや 今 忙しいんだよ
牛乳屋が 休日に忙しいなんて 聞いたことねえぞ?
うん? だから 新商品開発だろ あと まあ 大人の事情とか
いろ… もろもろ あんだよ! 社員 二人しか いないのに
何の事情が あんのよ?\Nんだよ もう
人の仕事に いちいち 口 挟んでくんな お前!
よし! おう そうだ\N次に会うの ハワイか
だな\Nああ じゃあ ちょっと
もろもろ 頼むな うん\N頼んだぞ 健!
おう 保! ツケとけぃ!\Nお前 ホント 払う気あんのか?
よくよく 考えると 相当 怪しいなぁ
なあ? 鶴 怪しくねえ?\N何が?
あいつが 休みの日に 仕事なんて 見たことないだろ?
別に どっちでもいいよ\N行っちゃいましょう!
もう そうやって すぐ サボろうとする!
そうじゃないだろ あの二人には 幸せに なってもらいたいだろ?
エリの不安 取り除いちゃいましょう
不安って?\N不安だよ!
そういえば 結婚式の準備とか 全然 やってくれないとは言ってた
披露宴で使う曲も 席順も 全部 エリに任せっきりだって
そうなんだ
そう! これを どうにかしなきゃ 戻ってきた意味が ありません!
傷口が広がる前に 止めちゃいましょう
そうだね!\Nレッツ ゴー!
行こう 幹雄!\N手 つなぐな!
あっ また 来るね!\Nタモっちゃん ツケといて
おう って おい! 何にも お前 頼んでねえぞ!
手 つなぐなって!
いらっしゃいませ えっと あっ あの 牛乳 ください
いちばん 大きいやつで\Nはい
はい あと…\Nあー 何がいいのかなぁ
あー 何か ドキドキするよね
どうするよ?\N見知らぬ女が 現れたら
変なこと 言わないでよ\N来たぞ
えっ?\N見知らぬ女
ホントに 来ちゃったよ
誰? あれ\N見知らぬ女
職場の人?\N職場には
男と 乳牛しか いないっつってたよな
そうだとしても あんな デレデレした顔は しないだろ
じゃあ 誰なの?\N多分 見知らぬ女?
もしかして まさかの…\N浮気!?
アハハハハ!\Nありえない ありえない
ノー ノー ノー
うわああー! エリからだ\Nどうしよう?
とりあえず 出ろって
もしもし?\Nもしもし? 礼?
今 何やってる?\Nえっ!? い… 今?
あの よかったらさ 今晩 みんなで ウチに ご飯 食べに来ない?
ご飯? ああー! ご飯 いいね ちょうど おなか すいてたし
行く 行く!\Nアハッ よかった
まだ 三人で 「将軍」にいるの? ケンゾーと 幹雄も ぺこぺこだって
後で 三人で行くよ
あっ! ねえ\Nちょっと 待ってて
そっか 思い出した\N「将軍」から
エリの家に行って 飯 食ったんだよな
来るときに 小麦粉 買ってきてくれない?
久々に みんなで お好み焼き やろうと思って
うん 分かった\Nうん じゃあ 待ってるね
あっ エリ?\Nうん? 何?
鶴って 今 何やってんの?\Nえっ? 会わなかったの?
ううん 会ったけど その後 どうしてるのかなぁと思って
仕事って言ってたけど\Nふーん そうなんだ
うん フフッ\Nホントに 仕事なの?
えっ? どうして?\Nあっ ううん いや 何となく
ああっ! ご飯? 仕事で 遅くなるって 言ってたから
先に食べちゃって 大丈夫だよ\Nうん そうだね
うん じゃあ 後でね\Nうん じゃあ 後でね はい
はあー 行くね\Nどこ 行くの?
エリが心配だから 先に行く エリに 余計なこと言うなよ
余計なことって 何?
だから 鶴のこと まだ 何も言わなくていいから
だって エリは 仕事だと思ってんだよ!?
言葉が 足りなかっただけかも しんねえし
それなら エリが 鶴に 確認するべきだと思うけど?
確認する必要 ないって\Nどうして?
つきあいたての カップルじゃ ないんだから 誰と どこで
何してるかなんて いちいち 報告しないっつーの!
夫婦になったって 言うこと 言わなきゃ 伝わらないと思うけど
何も言わなくても 分かり合える 二人だから 結婚するんです
絶対 そんなことない!\N男の人は 黙ってるのが
格好いいと 思ってんのかもしれないけど
女の子は 言葉にしてくれなきゃ 分かんないの!
別に 格好いいとかじゃなくて 何となく 分かんでしょ?
何となくって 何よ!?\N全然 分かってないんだから!
はいはい はいはい!\N続きは また 今度
鶴 動いたぞ
もう! 何で 鶴のために 頑張ってんのに
礼と ケンカしなきゃ いけねえんだよ
どうする?\Nとりあえず 電話してみる
おう
あっ! あいつ 切りやがった
あっ あっ どうも\Nどうも お待たせしました
ああ いえ とんでもない
また 別の女かよ!? これって やっぱり 浮気?
結婚前の男は 最後に はめ 外したくなるって 言うからな
かなり 必死だなぁ\Nどんだけ どんよくなんだよ
あいつ 大リーグばりに ストライクゾーン 広すぎじゃね?
ハードル 下げすぎ~
いらっしゃい\Nお邪魔しまーす はい
ああ ありがとう\N早かったね 健と 幹雄は?
もう少ししたら 来る\Nうん
あっ! どうしたの? この料理\N結婚したら
いい お嫁さんになるってとこ みんなに 見せたくて ハハハ
嘘 ホントはね 鶴のご両親が 今日 泊まりに来る 予定だったの
そうだったんだ\N張り切って
昨日から 準備してたのに 鶴が いきなり キャンセルしようって
ご両親も さっき 聞いたみたいで
心配になって 電話くれたり したんだけどさ
はあー 最近 残業っつって 帰ってくんのも 遅いし
休みも しょっちゅう 一人で 出かけちゃうんだよね
結婚式もさ 「エリの好きなように やっていいから」とか 言って
全然 手伝ってくんないし\Nうん
鶴 わたしのこと どう思ってんだろ?
えっ?
言えば 何でも 言うこと 聞いてくれるし
わたしのこと すごく 大切に思ってくれてるって
ずっと 思ってたんだけど\N実は わたし
鶴のこと よく 知らないんじゃないかと思って
そう思うなら いろいろ 聞けばいいじゃん
うやむやなまま 結婚するのは よくないと思うよ
礼はさ 健に 聞けないことってないの?
えっ?\N健に 何でも 聞いたりできる?
秘密とか ないの?\Nお互いのこと 全部 知ってる?
うん
 あっ 火 消えちゃう
あっ ううっ! うえっ!\N大丈夫?
星の数ほど 女はいるんだから! \N酒にも 飲まれました
あれ 絶対 高校生だと思われてるよ
いや 中学生\Nホント 必死だな
自分の才能じゃ 口説けないってことに 気づいて
最後の手段に出たな
大して 金もないくせに!
あんなに がむしゃらに なれるもんかね?
まあ 結婚する身に なってみねえと分かんねえけどさ
っていうか 結婚すんのに 何で こんなことすんだよ?
意味 分かんねえよ\N健も 躊躇してないで
さっさと 結婚すりゃいいじゃん\Nまた その話?
はっ?\Nまたって いつ 話 したよ?
気のせいかな 気のせいだ
やっべー\N健!
この話 したの ハワイだった\Nお前 もしかしてさ…
お前 もしかして…\N戻ってきてること ばれた?
結婚する気 ないの?\N何だよ びびらせんなよ
あるよ あるけど…
自分たちの前に 鶴たちのことを どうにかしないとって?
そう
それで また 懲りずに 過去に 戻ってきたんだ
ええーっ! 気づいてたの?\Nやっぱり そうなんだ
大体さ 健が 鶴のために どうにかしてやろうって
思ってる時点で 不自然すぎるって\Nそうか?
大学で 花火やったときも そうだろ?
あんなに必死に 鶴の背中 押したのも
鶴が 後悔するって知らなきゃ 絶対 しないって
俺って そんな 薄情か?\Nで 鶴たち どうなんの?
結婚式で 大ゲンカするとか?\Nエリが 式の前に
日本に 帰ってきちゃうの\Nはっ? 何? それ!
わざわざ ハワイに行っても 式は 中止
お前が作った スライドも 無駄ってわけ
ああ じゃあ 俺 準備しなくていいんだ
そうじゃねえだろ 二人が 無事に 結婚式 挙げること 考えろよ
じゃあ そろそろ 止めたほうが よくねえ?
浮気未遂じゃ 済まなくなるぞ\Nそうだよ 行こうよ
いらっしゃいませ えー お客さま 2名さまで
よろしかったでしょうか?\Nお客さま? お客さま?
えー 本日の ご指名のほうは?\Nはい ご指名
あっ フリーで\Nありがとうございます
えー 2名さま ご来店です!\Nありがとうございまーす!
スタッフ! 3番テーブル すぐ グラス 下げちゃって!
はい ありがとうございます! どうぞ どうぞ こちらへ
どうぞ こちらへ\N乾杯!
おいしい\Nお客さま シットダウン
オーケー ナイス…\Nえー 当店を ご利用いただき
ありがとうございます\Nすてきな夜を 過ごしたければ
当店を利用すれば 効果てきめん 僕 イケメン オーケー ヤッフー!
えー すぐですね レディーのほうを ご用意しますんで リトル ウエート
少々 お待ちを あー スタッフ 3番テーブル すぐ グラス
はーい お待たせしました!
ゆかりさんですね?\Nありがとうございます
レディース アンド 全部 イケメン! ゆかりさん ご指名でーす!
初めまして ゆかりです\Nあっ 初めまして
あいつ 指名なんかしてるぞ\N調子 乗りすぎだ
こんばんは!\Nこんばんは
この店 初めて?\Nはい 初めてなんで
ちょっと 緊張してます\Nお前 そんなこと
言ってる場合じゃねえだろ\Nかわいい!
でも 俺ら 友達 見張り 来てるんで 適当に
時間 つぶしといてください \Nえー! つまんない!
じゃあ 俺と 映画の未来について 話し合おうか?
えっ?\N映画 好きなんですか?
俺 映画監督 やってるんだ \Nええー! すごーい!
お前 どっちかって言うと 映画監督に やられてるほうだろ
いいから 鶴のこと 見張っとけよ\Nそれで?
時代の最先端は リュックだ\Nリュック!?
知ってる?\Nいい目してるよ
君たちも ハリウッドに 行っちまいな!
幹雄 幹雄
ちょっと\Nちょっと ごめんね ごめんね
ヘイ! ウエート ウエート… リトル ウエート お客さま 困ります!
しーっ!\Nワオ!
しまーす
おい 鶴!
ほい
ごめんね\N手伝わせちゃって
ううん 鶴が やらないなら わたしが やるしかないでしょ
ありがとう\Nフフフ あっ これは?
何か 定番すぎない?\Nいや
入場は 無難なほうがいいでしょ?\Nえー でも わたし
これも 気になんだよな\Nこっちも いいんだけどさ
アハハハ\N何?
昔のエリは もっと 潔かった気が するけどなぁ
そうかなぁ?\Nまっ エリも
大人になったってことか\Nそうですよ\Nアハハ
結婚って 何なのかね?\Nうん?
昔はさ 結婚って きれいな ウエディングドレス 着て
みんなに 祝福されて いいなぁって 思うぐらいだったでしょ?
ああ わたしも 小さいころは 結婚って エプロン つけて
料理して だんなさんが 帰ってくるのを
待つことだと 思ってた\N分かる それ! あっ 後さ
結婚したら どんな名前に なるかって 考えなかった?
すっごい 考えた!\Nでしょ? わたしは
岡さんと結婚したら 「おかえり」に なっちゃうから
絶対 やめようって思ってた\Nアハハ かわいいのに
やだよ!\Nあっ お茶 いれてたんだ
ちょっと待って\Nうん
結婚式だけ やるってわけには いかないのかねえ?
結婚生活も 週に 3日とかね\N鶴が聞いたら 悲しむよ
だって ドレス 着るまでが こんなに 大変だと思わなかった
これから もっと 大変なこと いっぱい あるのに
そんな 今から 暗い顔してて どうすんの?
礼は どうすんの?\Nえっ?
結婚したいって思う?
まっ エリの見てたら ちょっとは 考えちゃうよねぇ
健と 結婚とかの話には なんないの?
えー! ならないよ\Nえっ?
ならない ならない\Nおっ 卒業アルバムじゃん
はあー 分かんない\Nもしかしたら
そういう話になんのを ずっと 避けてるのかもしれない
エリと 一緒かもね
何か 怖くてさ 自分から そういうこと 聞けないし
前に ああいうこと あったし 親のことも あるし
自分から そういう話をする 勇気が ないのかも
あっ! 鶴は 将来の夢 かなえちゃうんだね
うん?\Nだって 書いてあるよ
「俺の将来の夢は エリと結婚して 世界一 幸せな
お嫁さんにする」って フフフ\Nホントだ
うわー! ハハハ うわぁ やだ これ 懐かしい
こんな色
あー! 若い
わたし 会社に 電話してみる\Nえっ?
ちゃんと 確認してみる
もしもし 鶴見 尚 お願いしたいんですけど
ああ 鶴見君?\Nはい
今日は 休みですけど\Nえっ?
仕事って 言ってたんですけど
鶴見君が 日曜日に 仕事するわけ ないでしょ?
今まで 一度だって 残業したこと ないのに
えっ?\N失礼ですが
どちらさまですか?\Nもしもし?
あいつは 限度ってもんを 知らねえよな
まだ 帰るわけには いかないって 言われてもなぁ
エリ!\Nねえ? エリ!
何だ? あいつら\Nやっべ
えっ?\N鶴の嘘 ばれたのかも
マジで?
行ってくるわ\Nおい 健!
1年前も 全力で 走っていた
過去に戻るたび 礼のために
何度も 何度も 全力で走ってきた
礼の泣き顔を どうしても 笑顔に変えたくて
全力で走った
礼に たまらなく 会いたくなって 全力で走った
礼に 第2ボタンを 渡したくて 全力で走った
礼に どうしても 後悔してほしくなかったから
全力で走った
礼の 二十歳の誕生日を 真っ先に 祝ってやりたくて
全力で走った
礼に 「好き」の ひと言を 伝えたくて 全力で走った
礼が どうしても 忘れられなくて 全力で投げた
礼に プロポーズがしたくて 全力で走った
礼を 失うのが怖くて 全力で走った
1年前 俺は 礼のために 全力で走り続けた
礼と離れるのが 嫌で
どうしても 好きの ひと言が 伝えたくて
世界で いちばん 幸せに してやりたくて
全力で走ってきた
あのころの気持ちが 次々と よみがえってきて
思わず 泣きそうになった
まだ やり残していることが あるのに
この1年間 ずっと 逃げ続けてきた 自分に
何だか 無性に 腹が立った
わたし やっぱ ダメみたい
もう 無理だよ
エリ 覚えてる?
多田さんの 授賞式の夜 エリが わたしに 言ってくれたこと
どんな 決断をしても わたしは それを応援する
礼の幸せだけを 願ってるからって
結婚式の日 あの言葉が あったから
思いきって 走り出せたんだと思う
ケンゾーだって 何にも 言ってくれないよ
不安だし もどかしいときも あるけど
本当は わたしのこと どう思ってくれてるか 分かる
不器用だし ちょっと 抜けてるところ あるし
だから お互い 言い合いばっかりだけどさ
この人と 一緒に 生きていくんだなって
そう思える
鶴も きっと そうだよ
本当は エリも 分かってるんでしょ?
わたしも エリの幸せだけを 祈ってる
本当に 好きな人と 一緒に 生きてってほしい
そこの二人!
ちょっと 行きたいとこ あんだけど つきあってくんない?
何だよ お前たちかよ
ちょっと ケンゾー\N何なの?
健 ホントのこと 知ってるんでしょ?
話してよ\Nそれは言えない
どうして?\N男の約束だから
そうやって ごまかさないでさ
タモっちゃん 借りるね\Nおお 使って
結婚式用の いいテープ 見つけたんだ
ケンゾー!
しーっ
「あっ お忙しいところ
お時間 つくってもらって すいません」
「別に いいんですけど でも わたし
幼稚園の 年長のときだけですよ エリちゃんと 同じ クラスだったの」
「ああ もう いえいえ\Nもう いいんです
あの どんな言葉でもいいんで もう よろしく お願いします」
「エリちゃん\N幼稚園のユリ組で
一緒だった 文重です\N覚えてるかな?
結婚 おめでとう でも ホント 優しそうな彼で よかった」
「ヘヘヘヘ…」 \N「今度 ウチにも
遊びに来てね だんなと一緒にさ」 \N「あっ はい ヘヘヘ…」
「フフフ… あと 絶対…\N絶対 幸せになってね
ホントに 結婚 おめでとうございます
こんな感じでいいのかな?」 \N「ああ もう…
あっ ありがとうございます フフフ」 \N「フフフ…」
「ホントは 今までの人生で エリが かかわった人
全員から 祝福のメッセージを もらいたいんですけどね」
「そうなんだ…\Nでも 何で
こんなこと やってんの?」 \N「うん? いや 俺…
一生 忘れないような 結婚式 してやりたいんです
エリも すっごい 結婚式 楽しみにしてるんで
もっと もっと 思い出に 残るものに してやりたいんです」
「ああ そっかー」 \N「あっ だから
当日まで 絶対 ないしょにしたいんです
あいつ 喜んで 泣いてくれたら 最高なんですけどね」
「ああ… じゃあ もう わたしなんかで よければ
喜んで 協力するから!」 \N「ありがとうございます
ああ じゃあ こちらのほうに はい 回った よし お願いします」
「エ… エリさん\Nあの 高校の購買で
パン 売ってた 三枝といいます」
購買の おばちゃん?\Nあいつ よく見つけたよな
「あの 今 写真 見せてもらって
エリさんのこと 思い出したんだけど
あの ほら 一度 家庭科の授業で焼いた クッキー
くれたことあったでしょう?\Nおいしかった あれ!」
「ああ そうそう!\Nそうなんすよ!
あいつのね クッキー めちゃくちゃ うまいんすよ!
あとね クロワッサン\Nあれ すっごい うまい
あっ そう\N購買に 置いて 購買に」
「フフフ…!\N結婚 おめでとう!
幸せな家庭を 築いてくださいね!」
これ 全部 鶴が?
ハハハ…
「エリ 元気?\N朝子だよ!
お店での 源氏名は ゆかりでーす!」
「あのう そういうのは ホント 結構なんで」
「ああ ええとね…\N何 話せばいいんだろ
エリが転校しちゃって 15年ぐらい
会うことも 電話で話すこともなく
今日まで 来ちゃったね\Nそれが まさか
いきなり 結婚するなんて 正直 驚いてます」
「僕も 正直 驚いてます」
「でも ホントに おめでとう
エリなら もっと いい だんなさん 見つかると 思うんだけどなー」
「あの… あの! あの もう そういうの ホント 結構なんで」
「フフフ\Nエリのために わざわざ
こんなところまで 来てくれるなんて
いい だんなさんだね\Nもっと大事にしなきゃ ダメだよ」
お前も よくやるよな
こんな 結婚式前の 忙しいときにさ
女の子にとっては 一生に一度の 晴れ舞台だろ
だから やって やりすぎってことは ないの
ほかに もっと 式の手伝いとか
してやったほうが 喜んだんじゃないの?
うん… かもな\N分かってんじゃん
でもさ 俺は 俺なりに 祝ってあげたいの
もう エリには すっげえ 感謝してるからさ
感謝?\Nそりゃ あんな いい女
俺みたいな男と 結婚してくれるだけで
すっげえ 感謝だろ\Nよっ
俺さ 結局 エリが 幸せになってくれれば
何だっていいなって思った
だから エリが生まれてから これまで かかわった人たち
俺は その全部の人に 感謝してる
もし その人たちが いなかったら 俺たちを こうやって
巡り合わせてくれなかったかも しれないじゃん
だから まあ お前たちにも 少なからず… 少なからず
もう ちょっと\Nちょっとは 感謝してる
何だよ!? 少なからずって \Nわっ びっくりした!
痛っ! 何だよ!? 何だよ!? 痛っ!\Nやめろ やめろ!
アメリカン ジョーク…\Nやめろ! やめろ!
ぶっ飛ばすぞ! お前ら\Nおい ハハハハ…
ようし じゃあ もう あと一人 コメント もらって 帰るわ
また 別の女んとこ 行くのかよ?
ちげえよ 今度は 男\N何だっけな
エリの 中学校のころの 塾の先生 でもさ エリに ばれないように
どうやって そんな人 見つけんの?
あのな 人間 必死になれば 大抵のことは かなうんだよ
ああ だから ちょっと もろもろのこと 頼むね
ねっ じゃあ 行ってくるわ\Nじゃあね!
鶴!
相変わらずだな\Nうん?
鶴は どこまで いっても 鶴だな
鶴の愛情は 昔と変わらず エリに とことん まっすぐで
少しだけ 不器用だった
一度でも 本気で 鶴を疑った 自分が
無性に 恥ずかしくなった
何 やってんだよ? \N今日 撮る 写真もさ
スライドショーに 絶対 入れてね
あっ 入んないし
また 女子かよ?\N何だよ? 「また」って
高校の卒業式んときも グラウンドに 書いただろ?
あんとき 心 つかまれないって 言ってた エリが
鶴と 結婚しちゃうんだもんなー もう あんときは 必死だったの
アハハハハ!\Nエリが 女子だって!
そんなの 分かってるっつーの
そんなんじゃ 心 つかまれないぞー!
別れたくない!
お前は 俺の あこがれなんだよ!
どんなに 手 伸ばしても
一生 手の届かない 高根の花なんだよ!
それは 自分でも ようく分かってる
だから 頼むから 俺の あこがれなんだから
都合のいい女に なるんじゃねえよ!
泣いてばっかの 恋愛なんか すんじゃねえよ!
もう 見てらんねえんだよ!
もう あいつんとこ 行かなくていいよ
もう 行くな
本当に たまに みんなが びっくりするような
ホームラン 打つよな\Nあっ? 何だ? それ
いいんだよ\Nお前は 知らなくて
あっ あのさ\Nお前 テープのこと
エリに 絶対 ないしょにしとけよ\N分かった
でもさー もう 俺 エリに 黙っとくの 超つらいんだよね
あっ そうだ\N「きだ~」 よし
うーん
ああーっ! えっ? 見た?\N見た
もう 絶対 言わないで これ\N分かった
いやぁ… あっ そうだ 隠そう 隠せばいいんだ
よっ!
エリ
俺は 鶴のこと 尊敬してる
体は ちっちゃいけど
誰より でかい男だと思ってる
もしかしたらさ あいつ ハワイ 行っても
この続き やると思うんだよね
急に 別行動したいとか 言いだすかもしんないし
でも そんなの 全然 心配ないからな
俺さ 鶴に このこと 黙っといてくれって
言われてんだけど
俺 何も しゃべってねえよな?
しゃべってない
フフフ… うん\Nなーんにも しゃべってない
フフフ…
後さぁ 式 当日は
このテープ 初めて聞いたような顔 してやってくんないかな
こんなの 何回 聞いても 泣いちゃうって
なら 大丈夫だな
ありがとうね\N全然
いいなぁー\Nエリは 愛されてて
フフフフ…\Nフフフフ…
いいなぁー エリは\Nいいなぁ!
いいなぁー! ハハハハ!\Nいいなぁ!
こっち こっち\Nこれ
そこ! パリッとした 麺と キャベツの間に
肉と 魚介の うまみが 染みこんでて 最高でしょ!?
おいおい!\N言葉で 洗脳すんの 卑怯だぞ!
何が?\Nそっちだって こっそり
グレードの高い肉 使ってただろ\Nそうだよ
関西風に合う お肉 使っただけです
そうです 広島風には 上質な お肉は もったいないんです!
ああっ!?\Nもったいない!
どこが もったいないんじゃ!?\Nもったいないんだよ!
頑張れ!\N負けんな ケンゾー!
決まった
こっちのほうが おいしい
イエーイ!\N意味 分かんないんだけど!
でも こっちの勝ち\Nえっ?
どうして?\N作るまでの 過程とか
あと チームワークも 採点に 含まれるから
イエーイ! やったー!
やったー!\N何じゃ!? そりゃ!
勝負は 味だろうが!\N味だろうが!
でも 勝ったんです\Nそうです イエーイ!
勝っちゃったんですー!\Nおい 岩瀬! デザート 買ってこい!
わたし プリン!\N俺 ババロア!
あん!?\Nねえ ねえねえ ババロア
分かったよ 買ってくりゃ いいんだろ! 買ってくりゃ!
男らしいとこ 見せろ ケンゾー!\Nおう!
おい お前も 負け組だろ! 行ってこいよ! 一緒に 行け
あっ 待って 健 健\N待って 待って 待って
あのさ 聞いて ババロア 何度も 言わなくても 分かります
あっ 分かる? 分かる?\N幹雄は?
あっ 俺 いらない\Nあっ マジで?
じゃあ 幹雄 食べないなら 俺 それ 食べるからさ
あの…\Nああ ごめん 聞いて
ババロア うわっ!
バカ!\Nえっ? ババ?
バカ!\Nバカ?
牛乳 飲め お前 黙って\Nうるさいな!
あっ もしもし 優子?\N今 平気?
お好み焼きってさ 広島風と 関西風以外に 何か あんだっけ?
チヂミ?\Nそれ 韓国だろ ハハハ…
何で? 関係あるじゃん \Nちょっと 待って
洗剤 つけすぎ\Nそんなことないよ
ねえ 持ってきて 持ってきて\Nやーだ
まあ チヂミでも いっか\Nえっ? ああ
今度 一緒に 作って みんなに 食べさせようぜ
別に どうも しねえけど…
ちょっと 結婚っていいなぁと思ってさ
だから 優子とは 結婚しないって
まあ 今すぐにはな
ああ ケンゾー どれにする?
あっ エクレア\Nああっ!
チーズケーキにしなよー\N自分で 買えー
だって シュークリームも 食べたいんだもん
知らねえよ\N両方 買えばいいじゃん
まだまだ 女心が 分かってないな 少しは 鶴のこと 見習いなさい
バカ あれだって 俺が 教えてやんなかったら
今ごろ 離婚だぞ
そうやって 何でも 自分の手柄にしようとする
はぁ!
あっ はい
ハハハ!\Nうまっ
鶴って ホント 男らしいとこあるよね\Nたまにな
たまにって ケンゾーが 言えることじゃないでしょ
それは 俺が 男らしくないって 言いたいわけ?
うーん\Nどうでしょうー?
俺が 結婚するときは あんなもんじゃないから
へぇー そうなんだ?\Nまあ でも
ケンゾーも 男らしいときあったよね\Nうん?
あの スピーチんときだけは 男らしかったよねー
だけって 何だよ? だけって あんときが ピークだったな
これから もっと上 あるから\N絶対 ないよ
全然 あるから\Nその後の 海も 最低だったしねー
さんざん 人に おんぶさせといて よく言うよ\Nふふーん
鶴 エリのこと ちゃんと 幸せにしてくれるかなぁ
大丈夫だよ
あいつなら 大丈夫
うん
どしたの? エリのウチ こっちじゃないでしょ?
ちょっと 行きたいとこあるんだよね
えっ? どこ?
黙ってちゃ 分かんないでしょ
言わなくても 分かるでしょ\Nいや 分かんないでしょ
じゃあ テレパシー 送っとくわ
バカじゃないの
ケンゾー
どうしたの? 急に
急にじゃないよ\N前から ずっと思ってた
一度 ちゃんと 会って 挨拶しなきゃなって
でもさ 男は やっぱ
多くを 語んないほうが 格好いいかなぁと 思って
ずっと 胸に 秘めてた
また そんなこと言って
はーい!
ケンゾー君!
ごぶさたしております
あの日 お二人に どれだけ ご迷惑を おかけし
つらい思いを させてしまったのか
考えれば 考えるほど こちらに 来ることが できませんでした
どんなに 言葉を尽くしても
決して 償いきれないと 思ってます
でも あの日
掛けがえのない 存在を 失わないで よかった
本当に よかった
その思いは これから先も ずっと 変わりません
黙って 後をついてきてくれた 礼さんを 幸せにすることが
僕にとって 精一杯の 償いだと思っています
ホントに 申し訳ございませんでした
突然 お邪魔して すいませんでした
待ちなさい!
待ちなさい
礼は わたしたちにとって 大切な娘です
あのまま 結婚していたら あるいは
つつがなく 幸せに なっていたかもしれない
君が やろうとしていることは
決して 簡単なことでは ないと思う
君にとっても 礼にとっても
礼の 周りの人にとっても
そのことを 君は 一生
肝に銘じてください!
すいません わざわざ 見送りまで してもらって
いいのよ\N全然 気にしないで
お父さん あんな言い方 しなくても いいのにね
あの人 自分が わたしの 父親に 会いに行ったときに
痛い目に 遭ってるから それで 厳しい顔 したいだけなのよ
そうかなぁ
ホントはね 口で言ってるほど 心配してないんだと思う
また 遊びに いらっしゃい
今度は ご飯でも 食べに来なさいよ
はい
じゃあ もう行くね\Nそんなに 遅くならないでね
お父さん 礼が帰ってくるまで 起きてるって 言いだすから
フフッ うん 分かった\Nじゃあ 失礼します
うん じゃあね\Nじゃあね
それから エリのマンションまで 二人は 無言だった
何を話していいのか 分からなかったと 言うよりは
何も 話さなくてもいいような 空気が そこにはあって
ラジオを 聞くでもなく 外の景色を 眺めるでもなく
でも 幸せな時間が そこには 確かに存在した
よーし ババロア 来い\Nはい ハバネロ
ひゃあ! 何!? これ!\Nお前 ハバネロ つってたじゃん
言ってねえよ!\N俺 ババロア つったじゃん!
ハバネロって 言ってたよな?\Nうん 言ってたよ
何度も何度も 言ったじゃん! ハバネロってな 全然 似てないだろ!
早く のんじまいな\Nお前 やっちまうぞ! おら!
うーっ!\N何で 買ってきた? こんなもん!
ちょっと!\N何? これ! 誰?
最初から なってたよ これ \Nああ それ 鶴だ
うわぁ!\N鶴!
いやいや あっ 後で…\N後で ちゃんと消すね
あっ 離婚だ\N離婚だー!
あっ あの もう それだけは 勘弁してください ホント
じゃあ 早く消してよ!\N消さないでいいじゃん
せっかくの 夫からの 愛のメッセージ とっときなよ
やだよ\Nこんなの 恥ずかしいよ!
うちのワイフ てれ屋さんだからね
あっ 並んで 並んで 並ぼう \Nよし 並ぼう
寄って あっ 鶴\Nこれ 乗れ
おし 分かった\Nちっちゃいからな
うるせえよ あっ そうだ! 待って 待って 待って!
待って 待って 待って\N待って 待って 待って 待って
エリ 怒ってないで\N後ろ 二人も 寄って
はい オッケー? はい\Nまた 字 間違ってる
えっ? ちゃんと 好きだーって 書いてあるよ
字 覚えろ お前\N覚えてます!
来るぞ\Nもう
ぬおおおーっ!
『ハレルヤ・コーラス』
あっ マジックのやつ 怒ってる? \N怒ってるよ ごめんね
よっしゃーっ! よし!
ちょっと!\N何 大きな声 出してんのよ!?
だって エリと 鶴が あそこに 座ってるからさ
結婚するんだから 当たり前でしょ
バーカ 俺が いなかったら 今ごろ あいつら あそこに座ってないから
もう 何 言ってんのよ?\N頭 大丈夫?
大丈夫とかじゃなくて\N俺が いなかったら あそこに…
『ハレルヤ・コーラス』
そんなに 必死に 説明したって
分かるわけ ないだろう?\Nそうなんすけど
一生懸命 頑張ったのに 悔しいじゃないっすか
誰かに 褒めてもらいたくて 自ら アピールする姿ほど
醜いもんはない!\Nはあー
誰か 僕に 優しくしてくれる人 いないっすかね\Nフッ
次に会うのは スペインだな\Nスペイン!?
ハワイも そろそろ 飽きたし 今度は スペインに住もうと思ってな
だから お前たちの挙式は スペインで やってくれ
いや 俺たちの式に 別に 参加してもらわなくて
大丈夫です\Nあっ?
恩人に対して そういうこと 言うようになったか
人間の薄情さは 恐ろしいな 分かりましたよ 考えておきます
でも うちの これが 何て言うかね
フフッ
ちゃんと 幸せにしてやれよ
はい
お前も 幸せになれ\Nはい
続きまして 新郎から 皆さまに ご挨拶がございます
えー 本日は お忙しいところ 僕と エリの結婚式に
ご参加くださって まことに ありがとうございます
あー エリは 高校のころから もう 学年一の人気者でした
そんな エリが 僕と つきあってくれるっていうだけで
もう 本当に うれしくて
で 今度は 結婚してくれるって 言ってくれて
もう 何て言うか\Nもう 世界…
もう 僕は 宇宙一の 幸せ者です
で こんな僕が エリに してあげられることって
ホントに 少ないかもしれないけど でも この場を お借りして
感謝の気持ちを込めて エリへ プレゼントを 贈りたいと思います
『あの鐘を鳴らすのは あなた』
まだ! まだ!
まだ!
「あなたに逢えて よかった」
「あなたには 希望の 匂いがする」
「つまずいて 傷ついて 泣き叫んでも」
「さわやかな…」 ちょっと
はい えっ? えっ? \Nプレゼントって これ?
いや! 違う違う 違う違う! 絶対 違う! 絶対 違う!
いや どうしよう\N「町は 今…」
止めてよ!\N無理だよ! もう 止まらないよ!
「あの鐘を 鳴らすのは あなた」
おめでとう
おめでとう
こんだけ エリと 鶴と 長く いるのにさ
二人とも 今日が いちばん 幸せそうな顔 してたよね
うん
結婚式って すごいんだねぇ\Nそうだな
ねえ?\Nうん?
えっ? どうかしたの?
俺らが 去年 乗り損ねた ボートじゃね?
はあ?\Nハネムーンに旅立つための ボート
はあ 古くさいって さんざん バカにされたけどね
乗っちゃおうぜ\Nえっ?
ハネムーン 行っちゃおうぜ\N何 言ってんの!?
ちょっと!\Nちょっと やめなって!
何してんの?
えっ?\Nあの日 約束したろ
なくした ハイヒール 世界中 探して 見つけてやるって
やっぱ ハワイまで 流れ着いてたんだなぁ
ちゃんと 突っ込めよ\Nいや だって…
プッ! ハハハハ!
ねえ? ブカブカって シンデレラ的には アウトだからね
普通 彼女の 足のサイズぐらい 把握してると 思うんだけどなぁ
そういうとこ ホント 抜けてるよね
ケンゾーが くれるものは いっつも ブカブカだ
何で いっつも こう ブカブカなんだろうね?
何で 持ってんの?
不思議だよね\Nだって 俺…
わたしも あのとき
エリから 受け取って びっくりしたんだよね
ただの 偶然だと思って
見過ごしちゃえば いいだけの 話なのかも しれないけど
わたしの手もとに こうして 巡ってきたことにも
何か 意味が あるような気がして
礼\Nうん?
幸せにする
俺が…
お前のこと 絶対 幸せにする
これからも ケンカすると思うし
文句も たくさん 言うと思うし
口 きかなくなるときも あると思うけど
ずっと 俺の そばにいてほしい
俺が 一生 面倒見るから
俺と…
俺と 結婚してください
よろしく お願いします
ブカブカ
ホントに
『明日 晴れるかな』
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