狼とおばあさん
腹を減らしたオオカミが、
食べ物をさがしてうろついていました。
あるところへくると、
小さな子供の泣き声が聞こえ、
おばあさんがこういうのが耳に入りました。
「泣きやまないと、オオカミにくれてやっちゃうよ。」
おばあさんの言ったことを真に受けた狼は、
立ち止まって長いことじっと待っていました。
夕方になると、
おばあさんが子供をあやす声が
また聞こえてきました。
「狼のやつがここにきたら、
たたき殺してやろうね。」
それを聞いたオオカミは、
こう言って立ち去りました。
「この農家じゃ、
言うことが一貫していないね。」
母親と狼 ある早朝に、 狼は村はずれの小さな家のあたりをうろついていました。 すると、 子どもが家の中で 泣いているのが聞こえてきました。 それから、 母親の声で、 「しっ、ぼうや、静かに!泣くのをお止め、さもないとお前を狼にあげちゃいますよ」 と いうのが聞こえました。 狼は驚きましたが、 とてもおいしい食事にありつけそうな見込みに喜んで、 開いてる窓の下に座り、 子どもが渡されるのを今か今かと待っていました。 しかし、 子どもがぐずり続けていたけれど、 (機嫌が悪くて泣いたりすねたりする。むずかる。) 狼は一日中待って無駄に終わりました。 すると夜にかけて、 窓のそばに座って 赤ん坊を揺らして寝かしつけながら 話している母親の声が聞こえてきました。 「ほら、ぼうや、ほら!狼にお前をあげませんよ、ええ、ええ、あげませんとも、狼が来たらお父さんが殺しちゃいますよ!」 ちょうどそのとき、 父親が家がみえるところにやってきました。 狼は賢く走って、 犬から命からがら逃げました。 (やっとの思いで。かろうじて。) Do not believe everything you hear. 聞いたこと全部を信じてはいけません | オオカミとおばあさん
お腹の空いたオオカミがエサを探して、 さまよっていました。
ある所へさしかかると、 子どもの泣く声と、 おばあさんがその子を叱っている声が聞こえました。 「もう泣くのはお止め。止めないと、お前をオオカミにやってしまいますよ」 「しめしめ」
オオカミは、 おばあさんが本気で言っていると思ったので、 そこに立ち止まって長い事待っていました。
そのうち、日が暮れてしまいました。
するとまた、 おばあさんの声がしましたが、 今度は子どもをあやしながら、 こんな事を言っているのです。 「よしよし、いい子だ。オオカミが来たら、おばあちゃんと坊やと二人で殺してやろうね」
これを聞いて、 オオカミは、 「ここの家の人は、口でいう事と実際にする事とが別々らしいわい」 と、 言いながら、 また歩き始めました。
このお話しは、 言う事とする事が全然違う人たちに聞かせるお話しです。 |