271-312 話

271-312 話
収録タイトル
271、真理と旅人。
272、人殺し。
273、ライオンと狐。
274、ライオンと鷲。
275、メンドリと燕。
276、道化と田舎もの。
277、烏と蛇。
278、猟師と馬乗り。
279、王子と絵のライオン。
280、ネコとヴィーナス。
281、牝ヤギたちのあご髭。
282、ラクダとアラブ人
283、粉屋と息子とロバ
284、カラスとヒツジ。
285、キツネとイバラ。
286、オオカミとライオン。
287、イヌとハマグリ。
288、アリとハト。
289、ウズラと鳥刺し。
290、ノミと人。
291、盗賊とオンドリ。
292、イヌと料理人。
293、旅人とプラタナス。
294、ウサギたちとカエルたち。
295、ライオンとジュピターとゾウ。
296、子ヒツジとオオカミ。
297、金持ちと皮なめし職人。
298、難破した男と海。
299、二匹のラバと盗賊。
300、マムシと鑢。
301、ライオンとヒツジ飼い。
302、ラクダとジュピター。
303、ヒョウとヒツジ飼いたち。
304、ロバと軍馬。
305、ワシとワシを捕まえた男。
306、禿頭とアブ。
307、オリーブの木と、イチジクの木。
308、ワシとトビ。
309、ロバとロバ追い。
310、ツグミと鳥刺し。
311、バラとアマランス。
312、太陽に文句を言うカエル。
タウンゼント版イソップ寓話集
hanama(ハナマタカシ) 訳



略記号:
Pe=ペリー版 Cha=シャンブリ版 H=ハルム版 Ph=パエドルス版 Ba=バブリオス版
Cax=キャクストン版 イソポ=天草版「イソポのハブラス」 伊曽保=仮名草子「伊曽保物語」
Hou(Joseph Jacobs?)=ヒューストン編  Charles=チャールス版 Laf=ラ・フォンテーヌ寓話
Kur=クルイロフ寓話 Panca=パンチャタントラ
J.index=日本昔話通観28昔話タイプ・インデックス TMI=トムスン・モチーフインデックス
<>=cf ( )=系統 Aesop=ペリー 1~273に属する寓話



271、真理と旅人。

 男が砂漠を旅していると、ひどく落胆した様子で独り佇んでいる女に出合った。
「あなたは、どなたなのですか。」旅人が訊ねた。
「私は、真理です。」彼女が答えた。
「どうして、こんな人里離れた荒れ地にいらっしゃるのですか。」
 旅人が訊ねると、彼女は次のように答えた。
「以前は殆どみられなかった偽りが、今では、あらゆる人々の間に、蔓延して、いるからです。」

ペリー355 、シャンブリ259、バブリオス126 、トムスンモチーフインデックスZ121.1、この話の系統は、バブリオス。


272、人殺し。

 殺人を犯した男が、殺した男の親類たちに追われていた。男はナイル河まで、やって来ると、丘の上にライオンがいるのに気づいて、恐怖に震えて木に登った。ところが、木の枝の先に、ヘビがいるのを見つけ、またもや、ぎょうてんすると、今度は川へ飛び込んだ。しかし、そこにはワニが大口を開けていた。
 このように、地上も、そらも、水も皆、殺人者を庇護するのを拒んだのであった。

ペリー32 、シャンブリ45、この話の系統は、イソップの原典。


273、ライオンと狐。

 狐がライオンの家来に、なった振りをして、協定を結んだ。そして、それぞれ、「その性質と能力に応じた義務を果たす」という約束が取り交わされた。狐が獲物を見つけて教えると、ライオンがとびかかり、獲物を捕まえた。しかしすぐに、狐はライオンの取り分が多いことが妬ましくなり、「もう、獲物を見つける役は御免だ。自分で獲物を捕まえる」と言い出した。次の日、狐は、囲いから子羊をさらおうとした。しかし、狐自身が猟師と猟犬の餌食となった。

ペリー394、704、キャクストン5.14、イソホ3.10、トムスンモチーフインデックスJ684.1 この話の系統は、アプトニオス。


274、ライオンと鷲。

 鷲が空を飛びながら、ライオンに、互いの利益のために、同盟を結ぼうと懇請した。
 するとライオンはこう答えた。
「別に断る理由はないが、君が信じられるものかどうか、証拠を見せてもらわないとね。だって、自分の好きな時に、飛んでいってしまえる友達を信じられるかい? 約束も果たさずに逃げられたらたまらないからね。」

教訓、試してから信用せよ。

ペリー335、バブリオス99 、トムスンモチーフインデックスZ121.1、この話の系統は、バブリオス。


275、メンドリと燕。

 メンドリがマムシの卵を見つけると、一生懸命温め続けた。
 それを見た燕がこう言った。
「なぜ、マムシを孵そうとするのです。 マムシたちが成長したら、まず手始めにあなたを害し、そしてあらゆる者に危害を加えるのですよ。」

ペリー192 、シャンブリ286 、チャーリス22 、トムスンモチーフインデックスJ622.1.1、この話の系統は、イソップの原典。


276、道化と田舎もの。

 ある時、金持ちの貴族が劇場を開き、無料で人々を招待した。そして、新しい出し物を考えた者には、多大な報酬を遣わすと、お触れを出した。報酬を勝ち得ようと、腕に覚えのある者が、大勢競い合った。そこへ、大変面白いと評判の道化がやってきて、「今まで、一度も舞台に掛けられたことのない出し物がある」と言った。すると、この話は世間で持ちきりとなり、人々は大挙して劇場に詰めかけた。道化は、道具も助手も連れずに一人、舞台に姿を現した。群衆は、何が始まるのかと、固唾を飲んで見守った。と、突然道化は頭を自分の胸にもってくると、子豚の、なき真似をした。それがとてもうまかったので、人々は、マントの下に、子豚が隠れているのだと言った。そして、マントを脱ぐようにと要求した。道化は言われるままに、マントを脱いだ。しかし何も出てこなかった。人々は道化に喝采を浴びせた。
 それを逐一見ていた、ある田舎ものが、こんなことを言った。
「ヘラクレス様、わしに力をお貸しくだせえまし。いいかね、そんな芸当では、わしにはかなわんよ。」
 田舎ものは、こういうと、「明日同じ芸を演じて見せよう。いや、それどころか、もっと上手な物真似を披露する」と公言した。次の日、劇場には更に大勢の群衆が詰めかけた。しかし、大多数の者は、道化を贔屓にして、応援していた。人々は、田舎ものの、芸を、観に来たというよりも、田舎ものを、笑い者にしてやろうと、やって来たのだ。まず最初に、道化がブウブウ鳴いて、そしてキーキー叫び、昨日と同じように、観衆の称賛と喚声を勝ち得た。次に田舎ものの番が来た。
彼は、服の下に子豚を隠し、耳を引っ張って、鳴かせる真似をした。
 すると、人々は、道化の方がはるかに上手な物真似だったと一様に叫び、田舎ものを、劇場から叩き出せ。と喚き出した。と、その時、田舎ものは、マントをぱっと脱ぎ去った。するとそこから本物の子豚が出てきた。
 そして田舎ものは、群衆に向かってこう言った。
「これをみておくれ。あんたたちが、どんな審査員かこいつが教えているよ。」

ペリー527 、パエドルス5.5 、ジェイコブス80 、トムスンモチーフインデックスJ2232 プルタルコス「食卓歓談集」647C


277、烏と蛇。

 飢えて餌を欲していた烏が、日向で眠っている蛇を見つけ、まいおりて、ひっつかまえた。すると蛇はくるっと向きをかえると、かみついて、烏に深手を負わせた。
 烏は、死の苦しみの中でこう叫んだ。
「俺は、なんて不幸なんだろう。 こいつを見つけて、勿怪の幸いと思ったのに、そいつが俺を破滅させるとは。」

ペリー128 、シャンブリ167、この話の系統は、イソップの原典。


278、猟師と馬乗り。

 ある猟師が、罠に掛けた兎を肩にかついで、家に帰ろうとしていた。道すがら、馬に乗った男に出合った。男は買うようなそぶりをして、兎を見せてくれと頼んだ。ところが男は、ウサギを受け取ると、馬に乗って、走って行ってしまった。猟師は、馬を追い掛けた。しかし、馬との距離はますます開くばかりだった。すると猟師は、大声で叫ぶと、全く心にもないことを言った。
「さあ、行った行った。その兎は、君に上げようと思っていたんだよ。」

ペリー402、トムスンモチーフインデックスJ1395、この話の系統は、Sytipas。


279、王子と絵のライオン。

 狩りの好きな王子を持つ王様が、夢でお告げを聞いた。それは、息子がライオンに殺されるというものだった。
 その夢が正夢になるのを恐れて、王様は王子のために、愉快な宮殿を建て、壁は動物の等身大の絵で装飾した。その中にライオンの絵もあった。若い王子はこの絵を見ると、このように閉じ込められたことへの、憤りが爆発するのだった。そして、ライオンの近くに立ってこう言った。
「この忌々しいけものめ。 父の眠りに現れた、偽りの夢のおかげで、私は女の子のように、この宮殿に閉じ込められているのだ。お前をどうしてくれようか。」
 王子はこう言うと、枝を折って鞭にしようと、トゲのある木に手をのばした。そして、ライオンを打ちのめした。ところが、そのトゲの一つが王子の指に刺さった。指に激痛が走り、王子はけいれんして崩れ落ちた。
 王子は突然の高熱にさいなまれ、数日で死んでしまった。

教訓、困難から逃げようとするよりも、勇気をもって困難に立ち向かった方がよい。

ペリー363 、シャンブリ295、バブリオス136 、ラ・フォンテーヌ8.16、パンチャタントラ1.323、日本昔話つうかん149 、トムスンモチーフインデックスM341.2 、この話の系統は、バブリオス。


280、ネコとヴィーナス。

 ネコが若い素敵な男性に恋をした。そこで、ヴィーナスに自分を人間の女に変えてくれるようにとお願いした。ヴィーナスはその願いを承知すると、彼女を美しい娘に変えてやった。こうして若者は、娘にひとめぼれすると、彼女を家に連れ帰ってお嫁さんにした。
 ヴィーナスは姿を変えたネコが、性質も変えたかどうか知ろうとして、二人が寝室で横になっていると、ネズミを放した。今の自分をすっかり忘れてしまったネコは、ネズミを食べようと、ベッドから跳ね起きネズミを追い掛けた。
 ヴィーナスはこの様子に大変失望して、彼女をもとの姿に戻した。

ペリー50、シャンブリ76、バブリオス32、ラ・フォンテーヌ2.18、トムスンモチーフインデックス.J1908.2、この話の系統は、イソップの原典。


281、牝ヤギたちのあご髭。

 牝ヤギたちは、ジュピターにお願いをして、あご髭を手に入れた。牡ヤギたちは、女たちに男と同等の威厳が与えられたことが腹立たしく、不満を申し立てた。
「まあ、よいではないか」ジュピターがそう言った。「女たちは、力、勇気においてはお前たちには及ばない。お前たちと同じ高貴な印をつけ、その虚栄に浸ることくらい許してやるがよい」

教訓、いくら外見が似ていようとも、中味が劣る者ならば、それを相手にする必要はない。

ペリー516、パエドルス4.17、トムスンモチーフインデックス.U112、この話の系統は、パエドルス。


282、ラクダとアラブ人

 アラブ人は、ラクダに荷物を積み終えると、ラクダにこう尋ねた。
「丘を上って行くのと下るのでは、どちらがよいかね?」
 すると哀れなラクダは、とっさにこう答えた。
「なんでそんなことを聞くのです? 平らな砂漠の路は、通行止めですか?」

ペリー287、バブリオス8、トムスンモチーフインデックス.J463、この話の系統は、バブリオス。


283、粉屋と息子とロバ

 粉屋とかれの息子が、となりまちのいちで、ロバを売るためにロバを曳いていった。歩き出してからすぐ、彼らは、井戸端会議をしている女将さんたちに出合った。
「ほらみてごらん。」一人が叫んだ。「あの人たちときたら、ロバに乗らずに、とぼとぼ歩いているよ。みんなはあんなのを見たことがあるかい?」
 粉屋はこれを聞くと、すぐさま息子をロバに乗せた。そうして、自分はその脇をさも楽し気に歩き続けた。
 それからまたしばらく行くと、老人たちが熱心に議論しているところへやってきた。
「あれを見なさい。」その中の一人が言った。「ほら、わしの言うとおりじゃろう。近頃では、年寄りにどんな敬意が払われているのだ? 年老いた父親が歩いていると言うのに、怠け者の息子はロバに乗っておる。やくざな若者よ、下りるのだ! そして、年老いた父親を休ませてやりなさい。」
 こうして、父親は息子をロバから下ろすと、自分がロバにまたがった。こうして歩いていると、またすぐに、彼らは母親と子供たちの一団に出くわした。
「あんたときたら、なんて、いけずな年寄りなんだい。」数人が粉屋を非難した。「可哀想に小さな息子は、あんたの脇を、やっとの思いでついて行っているというのに、よく自分はロバに乗って、平気でいられるね。」
 気のよい粉屋は、すぐさま息子を自分の後ろに乗せた。こうして、彼らは町の入口にさしかかった。
「おお、正直な我が友よ!」ある市民が言った。「これはあなたがたのロバですか?」
「その通りですよ。」年老いた父親がこう答えた。
「本当ですか? あんたがた二人がロバに乗っているのでは、誰もそうとは思わないですよ。」男はそう言うと更に続けた。「ロバに乗るよりも、自分たちでロバを運んだ方がよいのに、なぜそうしないんですか?」
「あなたの言うとおりですね、とにかくそうしてみます。」
 こうして、粉屋は息子と共にロバから下りると、ロバの脚を束ねた。そして棒を使って肩に担ぐと、町の入口の橋までロバを運んでいった。この様子を見ようと人だかりができ、人々は笑い転げた。
 ロバはうるさいのが嫌いなのに、その上、へんてこりんな扱いを受けたので、縛っている縄を破ろうと、棒を揺さぶった。そして川に落ちてしまった。
 苦い思いをして、恥ずかしくなった粉屋は、家に引き返すしかなかった。こうして粉屋が得たものは、全てを喜ばせようとすることは、結局誰も喜ばせないことであり、そのうえロバまで失うということであった。

ペリー721、イソホ3.30、ジェイコブス62、チャーリス47、ラ・フォンテーヌ3.1、パンチャタトンラ3.3、
トムスンモチーフインデックス.J1041.2、この話の系統は、ポッジョ。


284、カラスとヒツジ。

 意地悪なカラスがヒツジの背中に乗っかった。ヒツジは嫌々ながらも、あちこちとカラスを運んだ。そしてしまいにこう言った。
「もし、イヌを相手にこんなことをしたら、鋭い歯でお返しされるだろうに。」
 これに対してカラスはこう答えた。
「私はね、弱い者は蔑み、強い者にはへつらうんですよ。誰をいじめればよいか、そして誰に媚びればよいか、ちゃんと分かっているのです。だからこそ、天寿をまっとうできるのです。」

ペリー553、パエドルス6.26、キャクストン4.19、チャーリス98、トムスンモチーフインデックス.W121.2.3、この話の系統は、パエドルス。


285、キツネとイバラ。

 垣根に登っていたキツネが、足場を失ってイバラに掴まって、難を逃れようとした。ところが、足の裏に棘がささって、ひどい怪我をした。
「助けを求めたのに、垣根以上にひどい仕打ちをするとは、ひどいじゃないか。」とキツネは非難した。
 するとイバラがこう言った。
「私を掴もうなんざ、正気の沙汰ではない。人を掴むのが私の生業なのだからね。」

ペリー19、シャンブリ31、キャクストン6.5、トムスンモチーフインデックス.J656.1 、この話の系統は、イソップの原典。


286、オオカミとライオン。

 オオカミが、子ヒツジをかこいの中から盗んで、巣穴に運んでいた。そのかえりみちのことである。ライオンがこれを見つけて、オオカミから子ヒツジを奪った。
 オオカミは、安全な場所に立って叫んだ。
「私の獲物を奪うとは、なんてひどい奴なんだ!」
 すると、ライオンがからかうようにこう言った。
「これは、お前のものなのか? 友達に、もらったとでも言うのか?」

ペリー347、 シャンブリ227、バブリオス105、 狐ラインケ1.3、 トムスンモチーフインデックス.U21.4、 この話の系統は、バブリオス。


287、イヌとハマグリ。

 卵を食べる習慣のあるイヌが、ハマグリを見て、それを卵だと思って、めいいっぱい口を開くと、ごくりと呑み込んだ。しかし、すぐに腹が猛烈に痛みだし、イヌはこう言った。
「こんなに苦しむのも当然だ。間抜けにも、丸い物は皆、卵だと思ったのだからな。」

教訓、熟考せずに行動する人は、しょっちゅう、思いも寄らぬ危険に見舞われるものだ。

ペリー253、シャンブリ181、チャーリス70、トムスンモチーフインデックス.J1772.2 、この話の系統は、イソップの原典。

注意、タウンゼントのタイトルは、「イヌとカキ」となっているが、カキは卵のように丸くはないので、ハマグリと訳した。


288、アリとハト。

 アリが喉の渇きを癒そうと、川の土手へいったのだが、激流にさらわれ溺れて死にそうになった。すると、川面に突き出た枝に止まっていたハトが、葉をむしり、アリのすぐそばに落としてやった。アリは、葉に這い上がって流れに浮いて、無事に土手まで辿り着いた。
 それから幾日もたたないある日、鳥刺しが、枝に止まっていたハトに、鳥黐竿を差し伸べた。
男のたくらみに気付いたアリは、かれの足を刺した。鳥刺しは痛みに耐えかねて、竿を放り出した。
その音でハトは飛んでいった。

教訓、情けは人のためならず。

ペリー235、シャンブリ242、キャクストン6.11、エソポ1.25、イソホ3.8、チャーリス28、ラ・フォンテーヌ2.12、トムスンモチーフインデックス.B362 、この話の系統は、イソップの原典。


289、ウズラと鳥刺し。

 鳥刺しが、ウズラを捕まえて殺そうとした。ウズラはどうか助けてくれるようにと懸命に命乞いをした。
「お願いです、どうか私を生かしておいて下さい。生かしておいてくださるならば、私は、たくさんのウズラをおびき寄せて、あなたの慈悲に報います。」
 すると、鳥刺しがこう答えた。
「お前の命を奪うのにためらう必要がなくなった。お前は、自分の友達や身内を裏切って、助かろうとするのだからな。」

ペリー265、シャンブリ300。285、バブリオス138、チャーリス65、トムスンモチーフインデックス.2295.1、この話の系統は、バブリオス。


290、ノミと人。

 ノミにひどく悩まされた男が、ついにノミを捕まえてこう言った。
「俺さまの手足を食った奴め、捕まえるのに手間取らせやがって、お前は何者だ?」
 するとノミが答えた。
「おお、親愛なる我が君よ、どうか命ばかりはお助け下さい。どうか殺さないで下さい。だって、私は迷惑をかけると言っても、大したことはできないのですから。」
 すると男が笑って答えた。
「駄目だ、お前は俺の手で握りつぶされるのだ。悪は大小に係わらず、決して許されるものではないのだ!」

ペリー272、シャンブリ357、キャクストン6.15 、この話の系統は、イソップの原典。


291、盗賊とオンドリ。

 賊が家に押し入ったが、何も発見できなかったので、オンドリを盗んだ。そして一目散に逃げ去った。盗賊たちはアジトにつくとすぐに、オンドリを殺そうとした。
 するとオンドリは、命を助けともらおうとしてこう言った。
「お願いです。助けて下さい。私はとても人の役にたつのですよ。夜が明けるのを知らせて、人々を起こしてあげるのです。」
 すると、盗賊たちがこう言った。
「お前が隣近所の人たちを起こしたりしたら、我々の商売はあがったりだ。」

教訓、悪人は、美徳を守ろうとする者たちを嫌悪する。

ペリー122、シャンブリ158、トムスンモチーフインデックス.U33、この話の系統は、イソップの原典。


292、イヌと料理人。

 ある金持ちがうたげを催し、多くの友人や知人を招待した。するとかれの飼い犬も便乗しようと、友達のイヌを招待してこう言った。
「主人がうたげを催すと、いつもたくさんの残飯が出るので、今夜、お相伴に預からないかい?」
 こうして、招待されたイヌは、約束の時間に出掛けて行き、大宴会の準備をしているのを見て、胸をわくわくさせてこう言った。
「こんな素晴らしい宴会に出席できてとても嬉しいよ。こんなチャンスは希だからね。明日の分まで、たらふく食べることにするよ。」
 イヌは、嬉しさを友人に伝えようと尻尾をふった。すると、料理人が、皿の周りで動いている尻尾を見つけ、かれの前足と後ろ足をひっつかむと、窓から宴会場の外へと投げ飛ばした。イヌは力一杯地面に叩きつけられ、すさまじい叫び声を上げて、ふらふらと逃げて行った。かれの叫び声を聞いて、通りにいたイヌたちがやってきて、夕食は楽しかったか? と尋ねた。すると彼は、こんなふうに答えた。
「どうだったかだって? じつを言えば、ワインを飲み過ぎて、なにも覚えてないんだよ。いえからどうやって、出てきたのかも覚えてないのさ。」

ペリー328、シャンブリ178、バブリオス42、 狐ライネケ4.10、 トムスンモチーフインデックス.J874、 この話の系統は、バブリオス。


293、旅人とプラタナス。

 ある昼下がり、二人の旅人が、夏の照りつける太陽にあてられて、広く枝を張った、プラタナスのきの下に横になった。二人が木陰で休んでいると、一方が言った。
「プラタナスって、ミはつけないし、本当に役に立たない木だな。」
 すると、プラタナスの木がこう言った。
「この恩知らずめ! 私の木陰で休んで恩恵を享受しているくせに、無駄で役立たずなどよく言えたものだな!」

教訓、大変な恩恵を受けているのに、それに気付かない人がいるものだ。

ペリー175、 シャンブリ257、クルイロフ7.7、トムスンモチーフインデックス.W154.7 、この話の系統は、イソップの原典。


294、ウサギたちとカエルたち。

 ウサギたちは、自分たちが並外れて臆病で、絶えず、なにかに驚いてばかりいることに嫌気がさし、切り立った岸壁から深い湖に飛び込んでしまおうと決心した。こうして、ウサギたちは、大挙して湖へと跳ねていった。
 すると、湖の土手にいた、カエルたちが、ウサギたちの足音を聞いて、慌てて深い水の中へ潜り込んだ。カエルたちが、慌てて水の中へ消える様子を見て、一羽のウサギが、仲間に叫んだ。
「みんな、ちょっと待って。死んだりしてはいけない。皆も今見ただろう。我々よりも、もっと臆病な動物がいることを。」

ペリー138、シャンブリ191、バブリオス25、キャクストン2.8、ジェイコブス15、チャーリス61、ラ・フォンテーヌ2.14、トムスンモチーフインデックス.J981.1 、この話の系統は、イソップの原典。


295、ライオンとジュピターとゾウ。

 ライオンは、しきりに不満を申し立て、ジュピターをうんざりさせていた。
「ジュピターよ。私は大変な力があり、すがたかたちも素晴らしく、鋭い牙も鉤爪も持っています。私は森に棲む全ての動物の支配者なのです。しかし、その私が、オンドリのトキの声に恐怖しなければならぬとは、なんと不名誉なことでしょうか。」
 するとジュピターがこう言った。
「故無く責め立てるではない。お前には、私と同じ性質を全て与えてやった。その一つの例を除いては、お前の勇気は決してくじかれることはないのだ。」
 この話を聞いて、ライオンは悲嘆して一声唸ると、臆病な自分に憤り、死んでしまいたいと願った。このような考えを思いめぐらせていると、ゾウに出合った。ライオンはゾウと話をしようと近づいていった。すると、ライオンは、ゾウが耳をバタバタさせているのを見て、「どうしてそんなにしょっちゅう、耳をバタつかせるのか。」と尋ねた。と、その時、蚊がゾウの頭の上にとまった。
 するとゾウがこう言った。
「プウーンと唸って飛ぶ、このちっぽけな虫が見えますか? こいつが耳に入ったならば、私は一巻の終わりなのです。」
 するとライオンが言った。
「こんなに巨大な動物が、ちっぽけな蚊を怖がるとは、私ももう、不平は言うまい。そして死にたいなどと考えるのもよそう。ゾウに比べればまだましだ。」

ペリー259、シャンブリ210、トムスンモチーフインデックス.J881.2 、この話の系統は、イソップの原典。

注意、ライオンがオンドリの鳴き声に弱いと言うのは、タウンゼント107番を参照。


296、子ヒツジとオオカミ。

 オオカミに追いかけられた子ヒツジが、ある神殿に逃げ込んだ。
 オオカミは、子ヒツジに大声でよびかけて、こう言った。
「神官に捕まったら、生贄にされてしまうよ。」
 すると子ヒツジがこう答えた。
「お前に食われるくらいなら、神殿で生贄になった方がましだ。」

ペリー261、シャンブリ222、 バブリオス132、アウィアヌス42、キャクストン7.27、トムスンモチーフインデックス.J216.2、この話の系統は、イソップの原典。


297、金持ちと皮なめし職人。

 金持ちの男が、皮なめし職人の家の近くに住んでいたのだが、皮なめしの作業場の悪臭が、どうにも我慢ならなかった。男は隣人に引っ越してくれるようにと迫った。皮なめし職人は、その都度、すぐに出て行くと言っては、出て行かずにごまかしていた。
 しかし、こうして、長いこと、皮なめし職人がそこに居座っていると、金持ちの男は、臭いに慣れてしまい、全く不快に思わなくなり、もう不満を言うことはなくなった。

ペリー204、シャンブリ309、トムスンモチーフインデックス.U1133 、この話の系統は、イソップの原典。


298、難破した男と海。

 船が難破して、男は、波に翻弄され、浜辺へ打ち上げられると、深い眠りに落ちた。しばらくして男は目を覚ますと、海を見つめ、さんざんに罵った。「お前は、穏やかな表情で人々を誘い込み、我々が海に乗り出すと、荒れ狂って皆を破滅させる。」と、論難したのだ。
 すると、海が女性の姿となって、彼にこう言った。
「私を咎め立てしないで、風を責めて下さい。私は、穏やかなのです。そして、大地と同様に、急変したりしないのが、本来の姿なのです。でも、突然吹き付ける風が、波立たせ、そして私を暴れさせるのです。」

ペリー168、シャンブリ245、バブリオス71、クルイロフ6.10、トムスンモチーフインデックス.J1891.3 、この話の系統は、イソップの原典。


299、二匹のラバと盗賊。

 たくさんの荷物を背負った、二匹のラバが歩いていた。一匹は、お金のいっぱい入った篭を運び、もう一方は、穀物の袋を荷なわされていた。お金を運んでいるラバは、その荷物の価値が分かっているかのように、頭を立て、そして、首につけられた、よく響く鈴を、上下に揺らして歩いた。仲間のラバは、静かにそしてゆっくりとあとに続いた。と、突然、盗賊たちが、物陰から一斉に押し寄せてきた。そして、ラバのアルジたちと乱闘となり、お金を運んでいたラバを剣で傷つけ、金を奪い取った。掠奪され傷ついたラバは、身の不幸を嘆き悲しんだ。
 すると相方がこう言った。
「僕は穀物を運んでいたので、何も失わなかったし、怪我を負わされることもなかった。ああ、よかった。」

ペリー491、パエドルス2.7、チャーリス102、 ラ・フォンテーヌ1.4、 トムスンモチーフインデックス.L453 、この話の系統は、パエドルス。


300、マムシと鑢。

 マムシが鍛冶屋の仕事場へ入っていって、道具たちから腹の足しになるものを求めた。マムシは特に、鑢にしつこく食べ物をねだった。
 すると鑢はこう答えた。
「私から、何かもらおうなどと考えているならば、あなたは、バカモノにちがいない。私は皆からもらうのが生業で、与えることなど決してしないのですからね。」

ペリー93、シャンブリ116、パエドルス4.8、キャクストン3.12、エソポ2.22、ジェイコブス26、ラ・フォンテーヌ5.16、日本昔話通観290、トムスンモチーフインデックス.J552.3 、この話の系統は、イソップの原典。


301、ライオンとヒツジ飼い。

 森を歩き回っていたライオンが、棘を踏み抜いてしまった。そこで、ライオンはヒツジ飼いのところへいって、じゃれついて、まるで「私はあなたの助けが必要です」とでもいうように、尻尾をふった。ヒツジ飼いは剛胆にもこの野獣を調べてやり、棘を見つけると、ライオンの前足を、自分の膝の上に乗せて、抜いてやった。こうして痛みが治ったライオンは、森へと帰って行った。
 それからしばらく過ぎた日のことである。ヒツジ飼いは、無実の罪で投獄され、「ライオンに投げ与えよ。」という刑罰が宣告された。しかし、檻から放たれたライオンは、彼が自分を癒してくれたヒツジ飼いであることに気づき、襲いかかるどころか、近づいて行って、前足をカレの膝に置いた。王様はこの話を耳にすると、すぐにライオンを解き放ち、森に返してやり、ヒツジ飼いも無罪放免にして、友だちのもとへ返すようにと命じた。

ペリー563、キャクストン3.1、イソホ2.31、ジェイコブス23、日本昔話通観389、トムスンモチーフインデックス.B381 、この話の系統は、パエドルス。


302、ラクダとジュピター。

 ラクダは、オウシがツノを戴いているのを見て、羨ましく思い、自分も同じようなツノが欲しくなり、ジュピターのもとへといって、ツノを与えてくれるようにと懇願した。ジュピターは、ラクダはからだが大きくて強いにもかかわらず、更にツノを欲したことに腹を立て、ツノを与えなかったばかりか、耳の一部を奪い取った。

ペリー117、シャンブリ146、アウィアヌス8、キャクストン7.7、トムスンモチーフインデックス.A2232.1 、この話の系統は、イソップの原典。


303、ヒョウとヒツジ飼いたち。

 ヒョウが運悪く穴の中に落ちた。ヒツジ飼いたちはヒョウを見つけると、イクニンかは棒で打ち据えて、石を投げつけた。一方、別な者たちは、殴ったりしなくても死んでしまうだろうと、ヒョウを哀れんで、餌を与えて生き長らえさせようとした。夜になると、ヒツジ飼いたちは、ヒョウは翌日には死んでしまい、危険はないだろうと思って、家に帰って行った。ところが、ヒョウは、最後の力を振り絞って、跳び上がると穴から抜け出し、全速力で自分の巣穴へと駆けて行った。
 それから数日後、ヒョウがやってきて、家畜を殺し、この前、カレを打ち据えたヒツジ飼いたちを、猛り狂って引き裂いた。この前、ヒョウを助けた人たちは、殺されるのではないかと恐怖して、ヒツジのムレを引き渡すので、命ばかりは助けてくれるようにと懇願した。
 するとヒョウは、彼らにこう答えた。
「私は、石を投げて命を奪おうとした者たちを覚えているし、食べ物を与えてくれた者たちのことも覚えている。だから、恐れることはない。私は石を投げつけた者たちに、仕返しに来ただけなのだから。」

ペリー494、パエドルス3.2、キャクストン4.5、トムスンモチーフインデックス.B361 、この話の系統は、パエドルス。


304、ロバと軍馬。

ロバはウマが惜しみなく心をこめて扱われることが、羨ましかった。一方自分は重労働なしでは、腹いっぱい食べさせてもらえることはまずなかったし、そうしてさえ十分ではないこともあった。しかし、戦争が勃発すると、武装した兵士がウマに跨り、敵のまっっただ中へ、ウマを駆って突進して行った。そして、ウマは戦いの際に傷を負って死んでしまった。これらを全て見届けたロバは、考えを変えて、ウマを哀れんだ。

ペリー357、シャンブリ268、ジェイコブス78、トムスンモチーフインデックス.J212.1、この話の系統は、バブリオス。


305、ワシとワシを捕まえた男。

 ある日のこと、ワシが人間に捕まり、羽を切り取られると、他の鳥たちと一緒に、ニワトリ小屋に入れられた。このように扱われて、ワシは悲しみに打ちひしがれていた。その後、隣人がワシを買い求め、もう一度羽を生えさせてやった。ワシは舞い上がると、ウサギに襲いかかり、恩人への贈り物として持っていこうとした。
 するとこれを見ていたキツネが、声高に言った。
「この人の善意を耕しても仕方がない。それよりも以前、君を捕まえた男の善意を芽生えさせよ。彼がまた君を捕まえ、羽を奪わぬようにね。」

ペリー275、シャンブリ6、トムスンモチーフインデックス.B366、この話の系統は、バブリオス。


306、禿頭とアブ。

 アブが禿頭に噛みついた。男はアブを殺そうと、ピシャリと頭を叩いた。しかし、アブはさっとよけると、嘲るように言った。
「小さな虫が刺しただけなのに、あんたは命を奪おうと、とんだ復讐劇を企てて、自分で自分を痛めた日にゃ、どうするんだい?」
 すると男はこう言い返した。
「自分自身と和解するのは簡単なことだ。わざと痛めつけようとしたのではないことは、承知しているからな。だが、たとえ痛い思いをしたとしても、お前のような、人の血を吸って喜ぶような、不快で下劣な虫けらを、私はゆるしておけないのだ。」

ペリー525、パエドルス5.3、キャクストン2.12、ジェイコブス18、
以下、参照として、ラ・フォンテーヌ8.10、クルイロフ4.11、日本昔話通観151、パンチャタトンラ1.22、トムスンモチーフインデックス.J2102.3、グリムKHM58、今昔物語26-19、この話の系統は、パエドルス。


307、オリーブの木と、イチジクの木。

 オリーブの木が、イチジクの木を嘲った。というのも、オリーブは、一年中緑の葉をつけているのに、イチジクの木は、季節によって葉を落とすからだった。すると、そこへ霰が降ってきた。
霰は、オリーブがたくさん葉をつけているので、そこにとりつき、そしてその重みで枝を折った。こうしてオリーブは、あっというまに、しおれて枯れてしまった。
 しかし、イチジクには葉がなかったので、雪は地面にそのまま落ちて行き、全く傷つくことはなかった。

ペリー413、 この話の系統は、アプトニウス。


308、ワシとトビ。

 ワシが悲しみに打ちひしがれて、木の枝にとまっていた。
「どうして、そんなに悲しんでいるのですか?」同じ木にとまっていた、トビが尋ねた。
「わたしは、自分に合う連れ合いが欲しいのですが、見つからないのです。」ワシがこう答えた。
「僕ではどうでしょう? 僕はあなたよりも強いですからね。」トビが言った。
「あなたの獲物で、どうやって、生計が成り立つというのですか?」
「大丈夫ですよ。僕はしょっちゅう、ダチョウを鉤爪で仕留めて、運び去るのですから。」
 ワシはこの言葉に心動かされて、彼との結婚を承諾した。
 それからすぐ、結婚式が執り行われ、ワシがトビに言った。
「さあ、約束通り、ダチョウを捕まえてきて下さい。」
 トビは空高く舞い上がった。しかし、持ち帰ったのは、貧相なネズミ一匹だった。しかも、長いこと、野原にうち捨てられていたらしく、臭いがした。
「これが、わたしに約束したものなの?」ワシが言った。
「できないことは百も承知だったが、約束しなければ、君のような王家の者と、結婚できなかっただろうからね。」

ペリー574、トムスンモチーフインデックス.B282.2.1、この話の系統は、パエドルス。


309、ロバとロバ追い。

 ロバが大通りを曳かれていたが、突然、深い崖の淵へと走り出した。ロバがその淵へ身を投じようとしているので、主人は、ロバの尻尾を掴み、一生懸命引き戻そうとした。ロバはそれでも強情を張るので、主人はロバを放してこう言った。
「お前のかちだ。だが勝っても、ひどい目に合うのはお前の方だぞ。」

ペリー186、シャンブリ277、トムスンモチーフインデックス.J683.1 、この話の系統は、イソップの原典。


310、ツグミと鳥刺し。

 ツグミが、ギンバイカのミを食べていた。そして、そのミがあまりに美味しかったので、そこから離れようとはしなかった。鳥刺しはツグミを見つけると、葦の竿にトリモチをまんべんなく塗りつけ、ツグミを捕まえた。
 ツグミは、死の間際にこう叫んだ。
「ああ、私はなんて間抜けなんだろう! 僅かな食べ物のために、命を棄てることになるとは。」

ペリー86、シャンブリ157、トムスンモチーフインデックス.J651.1 、この話の系統は、イソップの原典。


311、バラとアマランス。

 庭に咲くバラの近くに植えられていた、アマランスが、こんなふうに言った。
「なんて、バラさんは美しいのでしょう。あなたは、神様や人間たちのお気に入り、私は、あなたの美しさや香しさを、嫉んでしまいますわ。」
 するとバラがこう答えた。
「アマランスさん。私の盛りは短いのです。無残につみ取られなかったとしても、萎んでしまう運命にあるのです。けれどもあなたは、萎むことはありません。永遠に若いまま咲き続けるのです。」

ペリー369、シャンブリ323、トムスンモチーフインデックス.J242.1、この話の系統は、バブリオス。


312、太陽に文句を言うカエル。

 昔むかしのことである。太陽が、妻を娶ると発表した。するとカエルたちは、空に向かってわめきごえを張り上げた。ジュピターは、カエルたちの鳴き声のうるささに閉口して、不満の原因を尋ねた。
 すると一匹のカエルがこう言った。
「太陽は独り者の今でさえ、沼を干上がらせます。それが結婚して子供をもうけたりしたら、我々の未来はどうなってしまうのですか?」

ペリー314、シャンブリ127、パエドルス1.6、バブリオス24、キャクストン1.7、イソホ2.15、ラ・フォンテーヌ6.12、トムスンモチーフインデックス.J613.1 、この話の系統は、パエドルス。

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底本にしたのは、
Project Gutenberg aesop11.txt
Aesop's Fables Translated by George Fyler Townsend
訳に際して、意味の分かりにくい部分には筆を加えました。

主な参考文献。
イソップ寓話集、中務哲郎訳、岩波文庫。
イソップ寓話集、山本光雄訳、岩波文庫。
新訳イソップ寓話集、塚崎幹夫訳、中公文庫。 
イソップ寓話集、伊藤正義訳、岩波ブックセンター。 
叢書アレクサンドリア図書館10、イソップ風寓話集、パエドルス/バブリオス、岩谷智・西村賀子訳、国文社。
吉利支丹文学全集2(イソポのハブラス) 新村出・柊源一、平凡社。 
古活字版・伊曽保物語、飯野純英校訂、小堀桂一郎解説、勉誠社。 
寓話、ラ・フォンテーヌ、今野一雄訳、岩波文庫。
寓話、ラ・フォンテーヌ、市原豊太訳、白水社。
クルイロフ寓話集、内海周平訳、岩波文庫。
アジアの民話12、パンチャタントラ、田中於莵弥・上村勝彦訳、大日本絵画。
カリーラとディムナ、菊池淑子訳、平凡社。
日本昔話通観 28、昔話タイプインデックス、稲田浩二、同朋舎。
狐ラインケ、藤代幸一訳、法政大学出版局。
知恵の教え、ペトルス・アルフォンシ、西村正身訳、渓水社。


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